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星を形成できなくなった銀河を発見 原因は銀河同士の衝突か アルマ望遠鏡
銀河の衝突で生じた潮汐力が星の材料であるガスを銀河外へと押し出す様子を示した想像図 (c) ESO/M. Kornmesser[写真拡大]
国立天文台が運営するアルマ望遠鏡は12日、約93億年前の宇宙において、星の材料となるガスを失い続ける銀河を発見したと発表した。
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■初期宇宙の天体を観測できるアルマ望遠鏡
英ダラム大学、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)の研究者らから構成されるグループが今回発見した「ID2299」は、南米チリのアタカマ砂漠にあるアルマ望遠鏡を活用することで発見された。アルマ望遠鏡は、ビッグバンが発生して間もない初期宇宙の天体を観測する能力をもつ。
「ID2299」は天の川銀河の数百倍のスピードで星を誕生させるため、星の材料となるガスを消費している。加えて、外に向けてガスを放出させるため、星の材料はいずれ枯渇するとみられている。研究グループによると、数千万年後には「ID2299」では、星は誕生しなくなると予測されている。
■銀河の衝突で発生する潮汐力が原因か
「ID2299」のような急激なスピードで星を誕生させる銀河では、ガスが外へ放出していることは知られていた。だが、その原因についてはいくつもの説がある。銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール周辺の降着円盤から放射する非常に強い光が、ガスを外側に向けて押し出すという説や、超大質量ブラックホールで発生するジェットがガスを銀河外に流出させるという説などが提唱されている。
だが従来提唱されている説は、ID2299で確認された大量のガスの流出を説明できないという。代わりに研究グループが注目したのは、ID2299が別の銀河と衝突していることだ。銀河同士が衝突することで潮汐力が発生し、ガスをID2299の外側へと押し出していると研究グループは推測する。
この新提案を裏づける発見もある。アルマ望遠鏡は、ガスがID2299の外側へと流出する要素が、潮汐による尾と見た目が類似していることを示しているという。
研究グループは今回の発見が、銀河の活動の終焉に当たらな知見をもたらすかもしれないと期待を寄せている。
研究の詳細は、英天文学誌Nature Astronomyにて11日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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