出前館、21年8月期第1四半期は大幅増収も赤字幅拡大 29都道府県で利用可能に

2020年12月25日 18:40

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■売上高は2.3倍、純損益は35億円の赤字

 シェアリングデリバリー事業を展開する出前館(2484)は24日、21年8月期第1四半期(20年9月~20年11月)の連結決算を発表した。コロナ禍によるデリバリー需要が拡大し、売上高は前年同期比132.7%増の42億2800万円と大幅増収を記録。一方、営業損益は前年同期の2億1000万円の黒字に対して31億9400万円の赤字、純損益は35億4300万円の赤字(前年同期は2億2000万円の黒字)と、収益面で大きな課題を残した。

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 今期の業績予想は、売上高280億円、営業損益及び純損益は共に130億円の赤字を予想しているが、1Q時点での売上高進捗率は15.1%と低水準。中期経営計画において今期は「出前館事業拡大のための大規模な投資実行」と銘打っている他、デリバリーが活発化する12月の前までの数字のため一概には言えないものの、2Q以降の動向に左右される状況となった。

■利用可能エリアが4県増加、LINEとの連携は強化

 コロナ禍によって更に注目を集めるようになった「デリバリー」事業を創業来手掛けている出前館としては、ここから3年間は勝負の年となる。23年8月期までの3カ年の中期経営計画によると、23年8月期においてデリバリー事業の通期黒字化を目標に、出前館の拡大を行っていく。今期(21年8月期)の赤字幅拡大は大規模な投資を先行させるためのものだ。

 出前館の認知度向上に向けた投資として、お笑い芸人のダウンタウン・浜田雅功氏を起用したTVCMや、交通広告を打ち出した結果、着実な認知度向上に繋がっている。また、前期末では25都道府県での利用エリアであったが、1Q時点で4県増加の29都道府県で利用可能となっており、配達員の増加も寄与し配達件数は前年同期の5倍に拡大した。

 11月よりLINEアカウント上に出前館のアイコン掲載をスタートし、LINEユーザーへの利用訴求が強化されたことから、更なる利用量の拡大が見込まれる。

■財務面はまだ良好をキープ?

 出前館の自己資本比率は1Qで74%と前期末より5.1ポイントの減少となったものの、引き続き純資産が厚い状況で、投資への余力を残した格好となっている。現状有利子負債等の借入金はなく、無借金経営である点が、出前館が積極的に投資を行える背景だ。

 しかしながら、この状態が長く続くことで財務状況が悪化することは目に見えている状況のため、投資家としては投資効果が功を奏すことを祈るばかりであろう。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

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