武田薬品の復権は本物か!?

2020年9月2日 16:19

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 武田薬品工業(以下、武田)は、売上高ベースで国内トップ級、世界でも10位強水準に位置する。創業は1781年というからその歴史は240年近い。初代の近江屋長兵衛が江戸幕府の免許を得て薬種取引の中心地だった大阪・道修町で和漢薬の商売を始めたことを祖業とする。

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 主力の医療用医薬品は以下の通り。

◆消化器系疾患領域: 「エンティビオ(潰瘍性大腸炎)」。承認国数は60カ国以上に及ぶ。「タケキャブ」は流動性食道炎や、胃潰瘍の再発抑制効果を有する医薬品。

◆オンコロジー(癌・腫瘍)領域: 「ニンローラ(多発性骨髄腫治療薬)」が、有効性・安全性に加え週1回の経口投与という利便性もあり米国をはじめ各国で伸長。買収したアリアド社の「アイクルシグ(非小細胞肺癌治療薬)」も、存在感を高めている。

◆血漿山来免疫治療領域: 血漿を入れ替えることで免疫を復活させる。後述するが買収したアイルランド/シャイアーの買収で広がりを見せている。

◆ニューロサイエンス(神経科学)領域: 「トリンテリックス(大うつ病治療剤)」。米国の抗うつ薬市場のシェアを順調に伸長さている。「バイバンス(多動性障害治療薬)」。

 アナリストはこんな指摘をする。「武田は得意分野の深耕、積極的なM&Aで世界の医薬品企業上位10位入りを視野に入れている。その当たりは、役員構成にも見て取れる」。社長のC.ウェーバー氏(14年就任)をはじめ16人の(社外取締役を含む)取締役のうち日本人は8人。そうした方向性は、国別売上高に反映されている。前3月期の総売上高のうち1位は米国・2位日本・3位欧州及びカナダといった状況。

 先のアナリストは「武田はドラスティク。創業家はM&Aを駆使し国際的に通用する傘下企業を増やすために経営陣体制の変更を軸に舵を大きく切った。その意味で国際的といえよう」とした。
 
 だが、どうか。世界でも比類なき買収と言われた19年1月のシャイアー(アイルランド製薬大手)のM&A(約7兆円とされる)。当時の武田の時価総額に対しシャイアーは約2倍。株式交換では武田の議決権は大幅に低下する。借金に頼らざるを得なかった。

 無論、買収効果が顕著化してくれば杞憂は吹き飛ぶ。が、現時点でその方程式は明確には見えていない。とにかく、足元の財務体質を改善する以外にない状況だ。「アリナミン」や「ベンザ」ブランドシリーズの大衆薬を展開してきた、営業利益129億円水準を稼ぎ出していた大衆薬子会社の米投資ファンドへの売却を発表した。そして8月17日には国内の「事務部門」「MR」部門等の30歳以上の中堅社員を中心に希望退職者を募ると発表した。

 時価は4000円出入り。シャイアー買収発表直後は大幅な値下がりも見せたが、今は落ち着いた状態。IFIS目標平均株価は、「今期上方修正」「黒字転換」もあり、5405円。算出したアナリスト13人中12人が「強気」姿勢。果たして株価は口ほどにものを言っているのだろうか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る

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