乃木坂46 大園桃子が見せたプロ根性に涙

2020年6月25日 06:41

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 6月19日~21日にかけて放送された「乃木坂46時間TV~離れていても僕らは一緒」が、放送後3日たった今も大きな余韻と話題を残している。

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 この、乃木坂46メンバーによる46時間放送というのは、今回で4回目。

 毎回非常に大きな話題になるのだが、今回の放送は、事前から様々な不安要素をはらんでいた。

 まず1つは、コロナ自粛でソーシャルディスタンスを保つ必要があるため、これまでのようにメンバーがスタジオでわちゃわちゃすることができないということ。また、様々な企画も影響を受け、これまでとは勝手の違う内容になること。

 そして最大の不安は、人気メンバーの相次ぐ卒業により、乃木坂46そのものの求心力が低下しているのではないかということだ。

 何しろ、歴代のセンター……生駒里奈、西野七瀬、深川麻衣、橋本奈々未に加え、白石麻衣までもが不参加。また、バラエティで強烈な強さを発揮してきたツッコミ職人若月佑美や毒舌女王井上小百合、キャプテンだった桜井玲香といったメンバーなしで46時間持つのかというのは、大きな不安材料だったはずだ。

 しかし結果としては、これまでの3回と比べても、劣化したとか、寂しかったとか言う印象はなく、むしろ回を追うごとに内容も充実してきていて、46時間ではたりないんじゃないかという声が聞こえるほど満足度の高い内容となった。

 1期生が経験と実績に裏打ちされた安定感で土台をしっかりと支え、それぞれの個性が外仕事を中心に認められている2期生がサイドを完璧に固めた土俵で、3期生がのびのびと実力を発揮して引っ張り、経験の浅い4期生もしっかりと自覚を持って食らいつく……。

 お互いを信頼し合い、かばい合い、競い合い、自分たちのベストをつくして視聴者を楽しませようとする意志があふれ出て来るような放送は、メンバーが変わったことを忘れさせるほど楽しく、優しく、温かい時間でファンを魅了したと言っていいだろう。

 乃木坂46というのは、選抜が多人数になり史上最弱となったアンダーライブに、1万人クラスの会場で平日4日間の公演を任せてみたり、新年最初の番組でセンターが年齢制限で出演できないと、選抜ではなくアンダーのメンバーをセンターに据えてみたりと、苦境になると思い切った攻めを見せる特徴がある。

 今回の46時間テレビでは、4期生にMCを任せてみたり、ほとんど経験のない研究生から昇格したばかりの新4期生に30分フリートークをさせてみたりと、かなりの冒険をやらせているのだが、メンバーはしっかりその期待に応えて番組を成立させてくるのだから恐れ入る。

 こうしてすべての企画が面白かったのだが、今回の放送のMVPとして記者が特に紹介したかったのが、3期生大園桃子の「歌ってみた」というコーナー。

 歌うのは好きだけど、苦手という大園は、かつて『逃げ水』で同期の与田祐希とWセンターをつとめた3期生の中心メンバーで、その後の選抜入りを続けている主要メンバーの1人。

 しかし、本人が言うように、「歌が上手い」という話は聞かないメンバーである。

 そんな彼女が、本格的に録音スタジオでソロで奥華子の『変わらないもの』を披露したのだが、これが本当に素晴らしかったのだ。

 確かに、抜群に歌唱力があるというわけではない。しかし、1音1音を丁寧に、誠実に歌い届ける姿勢は、まさにアーティストの魂を感じさせ、番組内でそれを見ていた同期の佐藤楓や阪口珠美を号泣させるほど≪尊い≫歌声だった。

 今回、様々な個人企画がある中で、大園同様、自分の限界に挑んだ生田絵梨花や渡辺みり愛の姿勢は、まさに、今現在をよしとしない乃木坂の真骨頂を示したもので、笑いと涙の波状攻撃に、ネットは爆発的に乃木坂の話題でTLが染まる現象を見せたのである。

 今回、OGは1人も出演することなく、白石麻衣もラストに電話で出演しただけであったが、これだけの内容の濃い、そしてファンを笑わせ、泣かせ、勇気づける放送を成功させたわけで、改めて乃木坂が世代交代に成功し、これからも地に足をつけた活動をしていく未来が証明されたように感じている。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

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