NYの視点:米国製造業は経済封鎖前の水準に回復、経済再開はV字型回復への基盤との見方も

2020年6月24日 07:42

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記事提供元:フィスコ


*07:42JST NYの視点:米国製造業は経済封鎖前の水準に回復、経済再開はV字型回復への基盤との見方も
米国の6月リッチモンド連銀製造業指数は0と、予想外に5月-27から横ばいに改善した。4月に過去最低となる‐53に落ち込んだのち回復基調にある。同指数の重要項目である新規受注は5と4月に‐61と最大の落ちこみとなったのち、1月来のプラスに改善した。

マークイットが発表した6月製造業PMI速報値は49.6と、5月39.8から一段と改善したものの成長を示す50には満たなかった。米6月サービス業PMI速報値も46.7と5月37.5から改善も予想に達しなかった。しかし、製造業、サービス業とも経済封鎖前の2月来の高水準に戻した。マークイットのチーフエコノミストは「米国経済の悪化ペースは6月に著しく鈍化した」「第2四半期経済は最悪の落ちこみが警戒されたが、製造業、サービスセクターは恐れられていたほどではなかった」とコメント。改善は第3四半期に回復する兆候を示唆していると楽観的な見方を示している。民間部門も経済活動の再開や需要の増加で4月、5月のマイナスなセンチメントから一転し、楽観的になったという。

大手の投資ファンド運用会社、ブラックストーン社のCEO、スティーブ・シュワルツマン氏は22日のイベントで、「米国経済は第2四半期に底入れし、今後数カ月はV字型回復の基盤をつくる」との見方を示している。同氏は2段階の回復を想定。経済封鎖からの活動再開は最初の反動でV字型回復になるべきとの見解。しかし、経済活動が2019年の水準に回復するまでにはいかず。ウイルスワクチンの開発が人々の自信につながり第2の回復に繋がるとの見方を示した。

第2四半期の落ちこみは過去最悪で長期にわたり経済に損傷を残し、回復には時間がかかるリスク、高失業率、見通しの不透明性、経済再開のペースが限定的となること、感染第2波がリスクになりうるが、米国経済は恐れられていたほど落ち込まないと、慎重ながら楽観的な見方が広がりつつあるようだ。ドル安が一方的に進む可能性も少ない。

■米国の6月リッチモンド連銀製造業指数:0(5月‐27)
新規受注:5(5月‐35)
出荷:−1(−26)
出荷遅延:−12(−33)
雇用:−5(−16)
賃金:1(−3)
週平均労働時間:1(−24)
支払い価格:1.59(1.05)
受け取り価格:1.19(1.11)

6カ月先
新規受注:46(5月12)
出荷:51(10)
出荷遅延:27(−1)
雇用:23(1)
賃金:34(24)
週平均労働時間:26(2)
支払い価格:2.36(1.87)
受け取り価格:1.58(1.77)《CS》

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