新型コロナ関連の経営破たんは128件に 景況感も大幅悪化が続く

2020年5月9日 08:12

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 東京商工リサーチが新型コロナウィルス関連倒産状況を発表し、5月の経営破たんは4月を越えるペースとなっていることが分かった。また帝国データバンクの景気動向調査では、新型コロナウィルスの影響などで大幅マイナスが続いている。

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■5月は実質3日間で19件

 8日、東京商工リサーチが新型コロナウィルス関連倒産状況を発表した。8日17時時点における「新型コロナ」関連の経営破たんは128件となった。このうち倒産が87件、弁護士一任と準備中が41件。

 月別で見ると2月が2件、3月が23件、4月が84件、5月は実質3日(1日、7日、8日)で19件となり、このままのペースが続くと4月を越えて100件以上になる可能性が高い。

■経営破たんは35都道府県に拡大

 都道府県別で最も多いのは東京都の29件。ついで北海道と大阪府がともに12件、静岡県が7件、兵庫県が6件、愛知県と新潟県がともに5件など35都道府県に広がっている。

 また業種別で最も多いのは宿泊業の29件。ついで飲食業が17件、アパレル関連が13件などとなっている。ただしこれらの数字は負債金額が1,000万円以上の私的整理や法的整理を対象にしているため、小規模な企業の経営破たんはより多いことが考えられる。

■景気動向指数は7カ月連続のマイナス

 同日、帝国データバンクが4月の景気動向調査を発表した。4月の景気DI(動向指数)は25.8で3月の32.5から6.7ポイン減となり、7カ月連続で悪化するとともに前月に続いて過去最大の悪化幅となった。

 4月の動向は「収縮」として、悪化要因に新型コロナウィルスの影響による経済活動の制約と国内・海外需要の落ち込み、消費税引き上げの影響継続をあげている。その一方で宅配事業などの新サービス、スーパーや医薬品小売を改善要因としている。

■改善は小売の3業界のみ

 業界別では全10業界で動向指数が悪化した。特に建設(4月:33.9、3月比:7.6ポイント減、以下同じ)、製造(24.7、5.6ポイント減)、卸売(23.7、5.7ポイント減)では過去最大の悪化幅だった。

 業種別で見ると製造の輸送用機器・器具製造(22.2、12.0ポイント減)、サービスの電気通信(30.3、19.7ポイント減)、教育サービス(13.9、15.8ポイント減)など2桁悪化の業種も多い。反対に3月比改善となったのは小売の飲食料品小売(26.3、0.5ポイント増)、医薬品・日用雑貨小売(28.7、1.2ポイント増)、各種商品小売(32.3、3.0ポイント増)の3業種のみ。

■今後の見通し「後退続く」

 今後の景気DIは引き続き悪化傾向が続き、5月は21.8(4月比:4.0ポイント減)、6カ月後の10月は17.0まで下がると見込んでいる。その後は徐々に改善し、1年後の21年4月は19.0とわずかながらも回復すると見ている。

 今後の見通しは「後退が続く」としており、悪化要因に企業や個人、金融市場の不安定化、企業業績の悪化にともなう雇用や所得環境の不安定化をあげている。その一方で金融政策の強化、生産の国内回帰、新商品やサービスの投入を改善要因としている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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