難化傾向の私大入試を勝ち抜く戦略

2020年1月21日 11:32

印刷

■出願は配点をよく考えて

 私大入試は、英語、国語、社会(数学)の3教科で受験できるため、国立大学よりラクだ、という発想はくれぐれもしないことである。3教科しかない、ということは、どれか1教科でも落とせば、穴が大きいということを意味する。

【こちらも】大学入学共通テスト記述問題の「そもそも論」

 国立大学のように5教科勝負なら、1教科の穴は他の4教科で取り返すことができる。ましてや私大の配点は英国社(数)の配点が150:100:100のところが多い。英語で点数を落とすと、ほぼ合格は無理だということだ。

 おちょこの水はどんぶりに移せるが、どんぶりの水はおちょこに移せない。配点の高い教科を優先順位第1位として学習すること、社会や数学など、得意教科の強みをいかしたいなら、その教科の配点比率が高い大学を受験する。出願時にはよくよく配点比率を考えることが大切だ。

■首都圏私大の上位校は一服

 文科省が段階的に進めてきた首都圏私大の入学定員の厳格化が、今年度は前年度と同じ1.1倍で据え置かれた。昨年度の異常な私大難化を受けて、受験生をいたずらに混乱させないようにとられた措置である。

 前年度、あまりに難しくなりすぎた関東の早慶上智、明治、青山、立教や関西の関学、同志社、立命館は志願者減で、激化が一服したようである。しかし昨年度と比べれば、の話で、一昨年度と比べると、やはり難化していることに変わりはない。

■中堅校は激戦必至

 2020年度入試がどうなるのか、先が見えないこともあり、上位校を敬遠した受験者層が軒並み中堅校を志願し、中堅校、さらにその下位の大学が難化している。関東では、東洋、駒沢、専修が志願者を増やし、そのしわ寄せが下位の大学に及んでいる。関西では、京都産業、近畿、甲南、龍谷からさらにその下が難化している。

■地方の私大にも波及

 私大の難化の背景には、地方活性化のため、首都圏私大に若者が集中するのを緩和させようという国の政策がある。一連の首都圏の私大難化は地方の私大に影響し、定員割れが続いていた地方私大の入学定員充足率が上昇している。

 国の政策が功を奏した形になったが、首都圏私大を第一志望とする受験生には厳しい状況が続いている。(記事:大学受験国語のフットプリンツ 谷村長敬・記事一覧を見る

関連記事