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車の前後重量配分50:50は意味がない? 操縦性能への影響は
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ポルシェ、BMW、ベンツ、フェラーリなど操縦性能に自信のあるメーカーでは、車両重量前後配分を50:50に近づけている。これは旋回する時に前後の重量がばらけていると、クセが現れると考えられてきたからだ。
前が重ければアンダーステア、後ろが重ければオーバーステアと考えられてきた。確かにひと昔前の日本車ではFRが多く、前が重いためか多くのクルマでアンダーステアが現れ、ハンドルを切っても切っても曲がらない感覚があった。
BMWに初めて乗った時、素直に切れるハンドリングに「オーバーステア」の感覚がしたものだった。ポルシェは928や924などFRの車を作る時、バッテリーをトランクルームに置いたり、ミッションをデフ側に取り付けたりして、50:50の前後車両重量配分を守っていた。そのおかげでハンドリングがニュートラルなのであると思っていた。
その昔、スポーツ用具であるゴルフのドライバーの慣性モーメントの問題を考えている時のこと。シャフト軸からヘッド重心までの距離(重心距離)でモーメントが決まり、ヘッドスピードが速い場合、重心距離が長いとローテーションが間に合わない理論に出会った。
「そうか重心距離が問題なんだ」と気がついた。「てこの原理」が働くため、クルマの場合も、車両全体の重心と前後それぞれの重心との距離が問題なのだ。
最近のクルマでもバッテリーをトランクに積んだりして、前後重量配分に気を遣っている車が多い。しかし問題は、前後の重量が重心からどのくらい離れているか、重心距離が問題であると気づいた。
例えば、重量物が重心に極めて近く、ホイルベースが長ければ、相対的にモーメントを抑えるタイヤの接地力がまさり、さしたる影響が及ばないこととなる。また流れる力そのものが、重心距離に左右される度合いが大きいことも推察できる。
MR(ミッドシップ)のクルマでは重量物のエンジンが重心に近いことで操縦性が良いと考えられているのも、モーメントの問題だ。
すると、前後の重量配分はさほど問題ではなく、タイヤの接地性能などにも左右される度合いが強いことも考えられる。最近のクルマの多くは前後オーバーハングが短く、ホイルベースの中に前後の重心位置が来ていることが分かる。そのため、重量配分はさほど度意味がないことは明白だ。車両諸元全体を考えてモーメントを出す必要がある。
そして、最近のクルマに多いのだが、不必要に大きなタイヤを装備していると、バネ下重量などでサスペンションの追従性などを悪くすることもあり得る。
実際のクルマの重量配分を調べても、さほど正確には50:50になっていないようだ。乗り心地も含めて、新しく実用的な操縦性能についての指標を探す必要があるだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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