革命的進化? 新型ダイハツ・タント「DNGA」の成果 「D-CVT」は何をもたらすのか? (2)

2019年7月13日 17:43

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D-CVT(画像: ダイハツ工業の発表資料より)

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 新型タントで抜本的進歩をダイハツは狙っているのだが、しっかりした製品を造ることや生産方式の進歩を実現するため、親会社にあたるトヨタTNGAの方式を実施しようとしている。それがDNGAだ。

【前回は】革命的進化? 新型ダイハツ・タント「DNGA」の成果 「D-CVT」は何をもたらすのか? (1)

 これは、第一にラインの稼働率を上げ、市場の変動に強くなることを目指している。また生産拠点同士の連携を強めて、「混流生産」を幅広い車種で実現し、拠点同士で生産車種を融通し合うことが出来る、サプライチェーンも含めた「スウィング生産」を実現しようとしている。

【参考】【投資の真髄:トヨタ生産方式(1)】多種少量生産による数千倍の資金効率

■DNGAの狙いは大幅な「資金効率」向上

 「ライン稼働率の平準化」を目指しているのだが、それは経理・金融面においては「在庫の削減」が狙いとなる。「資材在庫」に始まり、「完成品が納入され、売り上げに上がり、入金するまでの資金」はメーカーが負担していることとなり、設備資金と合わせて膨大な金額となる。保管場所・保管管理手間など、材料費や途中までの加工手間賃、つまり人件費、設備資金などを勘案すると、車両1台当たりの売価の数千倍となる資金が必要であるとも考えることが出来る。

 これが製造業の勝負を分けるポイントであり、それを克服する「トヨタのかんばん方式」が、フォード方式・GM方式を超えて、世界の「あらゆる業種の製造業」で採用されてきた理由でもある。

 そのためには、ラインで「混流生産」が出来なければならない。つまり、組み立てる車両は、1台ごと注文順に生産されることが理想となる。その中で目立つところで言えば、「プラットフォーム」を共通で使える工夫だ。車種が違ってもライン上では同じ車種として取り扱えることで、「共通化」が図れるのだ。これを目指して自動車各社はプラットフォームの刷新を進めてきた。

 しかしこれも容易ではない。世界に点在する生産拠点でサプライチェーンも共通に使えることが必要で、モジュール設計などの製品企画段階から、構想を整備していく必要がある。生産拠点ごとのサプライチェーンでは品質レベルの違いがあり、これを同レベルにしていくのも困難を極めることとなる。

 国ごとの文化レベルもあり、得意分野も異なる中で、国民性の違いも考慮して同一レベルの品質保証体制を構築するのは容易ではない。当然に「得手不得手」が出来て、品質のばらつきが起きてくる。作業工数の違い・給与レベルの違いも起きてコストも違ってくる。

 軽四輪自動車は日本国内の規格であり生産台数も多くはないため、基本的には生産拠点を日本に置くことで、問題を解決できるのは、幸運であると言える。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: 革命的進化? 新型ダイハツ・タント「DNGA」の成果 「D-CVT」は何をもたらすのか? (3)

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