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地球の起源となる宇宙ダスト 観測ロケットによる実験で解明に迫る 北大
装置内で炭素とチタンの蒸気から宇宙ダストが生成する様子(写真:北海道大学の発表資料より)[写真拡大]
北海道大学は6月28日、地球型惑星の材料となる宇宙ダストの生成過程を解明するための実験を、スウェーデン宇宙公社(SSC)が運用する観測ロケットMASER14を用いて実施したと発表した。
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■太陽の歴史より古い炭素質物質
地球型惑星の主要な構成鉱物のひとつに炭素質物質がある。生命の誕生に必須である有機物の主要元素から炭素質物質は構成されるため、その生成に必要な条件の解明が研究されてきた。
研究グループが着目したのが、「炭化チタン」と呼ばれる太陽系の年齢よりも古い炭素質物質だ。ナノメートル程の炭化チタンを含んだ微粒子は星間空間を漂い、太陽系の起源となった原始惑星系を経て、惑星を構成する成分のひとつになったと推測される。だが、炭化チタンを含む微粒子の生成過程は謎が残るという。
「AGB星」と呼ばれる進化末期の中・小質量星から、波長が20.1マイクロメートルの赤外線が発見されている。2000年に、この赤外線の起源となる物質が炭化チタンではないかと報告された。この報告は実験室での観察に基づいた結論であり、観測的に実証されたのではない。そこで研究グループは、天体が放出するガスで炭化チタンを含む微粒子の生成過程を解明するために、ロケットを使った微小重力実験を実施した。
■微小重力実験を実施する観測ロケット
研究グループが実験に利用した観測ロケットMASER14は、6月24日に打ち上げられた。運用するSSCは1966年以来、560以上の弾道飛行に成功している。MASER14は、微小重力実験の実施を可能にする弾道飛行ロケットとして開発された。最大で800キログラムまで搭載可能で、北大のDUSTプロジェクトを含め、5つのプロジェクト用の装置が今回搭載された。
研究グループは、MASER14に搭載された装置内で、炭化チタンの生成実験を実施した。光のスペクトルを解析可能なレーザー干渉計を活用し、炭化チタンが生成する際のガスの温度と濃度を求めたという。
また赤外線から取得されるスペクトルを直接観測可能な装置を使い、炭化チタンが生成される過程でのスペクトルが観測された。これにより、分子構造が乱れたアモルファス(非晶質)から結晶へ変化するや、結晶構造の同定まで行なえるという。研究グループはこれらの装置を活用し、炭化チタンの生成過程の理解に不可欠なデータの取得に成功した。
研究グループは、今回取得されたデータを用い、20.1マイクロメートルの赤外線から取得されるスペクトルの起源が、炭化チタンに由来するかどうかを数カ月かけて解析し、論文で発表するとしている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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