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ビジネスにおいて「即断即決」は正解なのか?
テクノロジーの進化がめざましい現在、時代のテンポがスピード感を増している。流行の波に乗りビジネスチャンスをつかむなら、素早い決断が望ましいとされている。実際に多くのビジネス関連書籍や各種セミナーでは「即断即決」を重視する論調が目立つが、はたして素早い決断は絶対的に正しい答えなのだろうか。
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■即断即決できない人が多い
これまで古今東西の多くの経営者や評論家が、即断即決を奨励してきた。米国の実業家のアンドリュー・カーネギーは「必要な条件をすべて与えられながら、即座に決断を下すことのできない人は、いかなる決断も下すことはできない」とまで述べている。しかしすべての人が、「すぐに決められる」わけではない。決断に時間がかかる人も当然いる。決断が遅いのは、心理的要因によるところが大きい。
■「恐れ」が決断を遅らせている
決断できない時間は、ネガティブなことを考えている時間である。具体的には「決断が間違っていたらどうしよう」という「恐れ」だ。取り返しのつかないことになるかもという心理的不安がネックになり、決断を鈍らせている。逆に言えば「恐れ」さえ抱かなければ誰でも即断即決ができるようになる。
しかし恐れの感情自体を完全に消すことはできない。可能なのは恐れの時間を「縮小」することだけだ。正しく現状を把握し、適切な情報を収集・整理することができれば、いつまでも恐れおののくことなく決断に踏み込むことができる。
■常に即断即決する必要はない
現実には、いつ何時でも即断即決すべき、というわけではない。組織を率いる経営者であれば、リスク管理に時間が必要なこともある。失敗したときの保険をかけ、周囲の準備を十分に整えてから決断する、というのも賢明な経営判断と言える。
またビジネスはときに、「駆け引き」がまかり通る世界でもある。最初に動いた人が損害を被り、遅れて行動を起こした人が安全に成果を回収できるという「後出しじゃんけん」が起きることがあり、何においても即断即決が100%正しいとは言い切れないのが実情だ。
■決断の精度は経験によって磨かれる
重要なのは、即断即決を絶対視しすぎて「熟慮は悪」と安易に決めつけないことだ。そして決めきれない自分を、責めないこと。すぐ決断して失敗することもあれば、決断が遅れてチャンスを失うこともある。経験を積み重ねることにより、素早く決めるときとじっくり待つべき局面があることを、見極める目を養うことができる。
経験値がベースにあれば、どのタイミングで決断するのが最善か、「真のベストタイミング」を見極めることにもつながる。磨くべきなのは、決断の「正確さ」である。(記事:岡本崇・記事一覧を見る)
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