フラット35を悪用した不正な不動産投資が多発か

2019年5月5日 20:31

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 朝日新聞の報道によれば、低金利の住宅ローン「フラット35」を不正に利用した不動産投資が多発しているという。東京都内の中古マンション販売業者の元営業担当が同社の取材に応じ、フラット35を悪用して150戸前後を販売した旨を明かした。今年の2月にはサブリースを悪用した投資勧誘がニュースとなったばかり。いずれのケースでも知識のない若者がターゲットとされている。

 住宅ローン「フラット35」は、国民の住宅購入を支援する目的で住宅金融支援機構(前身は住宅金融公庫)と民間金融機関が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローン。低金利が長期間固定されるだけでなく、保証人不要、繰上げ返済手数料不要など条件が優れている。

 一般的に、賃貸用不動産を購入する場合は事業性ローンとして扱われ、住居として使用する物件向けの住宅ローンと比べ金利が高くなる。民間金融機関の場合、住宅ローンで購入した住宅をその後に有償で貸し出す際は、そのタイミングで金利の高い事業性ローンへ切り替えることとなるケースが多い。

 一方、フラット35の場合、転勤などで対象物件に住めなくなった場合は金利の低い住宅ローンを維持したまま有償で貸し出すことを認めている。ただし初めから賃貸する目的でフラット35を利用することは、認められていない。

 今回問題となった不正利用は、当初から賃貸目的でローンを組んだだけでなく、購入金額を上回る融資金額を申請していた。前者については、フラット35は住所変更届を提出するだけで賃貸への転用が認められる制度上の隙が悪用された。後者において水増しされた融資金は、利用者が負っていた借金の返済や、この不正スキームに関与する業者の手数料等に充当された。

 朝日新聞の取材に応じた元営業担当によれば、2016年から2018年にかけ、不正利用で計150戸前後を販売したとのこと。利用者の大半は20代から30代前半の若者で、低所得かつ借金を負う人が多かった。今年2月頃にニュースとなったサブリースを悪用した投資勧誘と同様、知識が乏しく資金繰りの厳しい若者をターゲットとしている。水増し分を含む長期の返済義務を負うのは業者ではなく利用者である点を忘れてはいけない。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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