外国人実習生「増やしたい」農業者は45.9% 既に受け入れは11.1% 日本公庫調査

2019年4月28日 16:52

印刷

 日本政策金融公庫が農業分野における外国人実習生についてのアンケート結果を発表し、外国人実習生を受け入れている農業者は11.1%に留まりながらも、今後は増やしたいと考えている農業者が多いことが分かった。

【こちらも】技能実習生のメンタルケア、企業が受け入れるのに必要なことは

■11.1%の農業者が外国人実習生を受け入れ

 26日、日本政策金融公庫が外国人技能実習生の受入状況の調査結果を発表した。これは1月の農業景況調査に合わせて行われたもので、同公庫と取引のある農業者1万9,925先を対象として郵送アンケートを行い、回答のあった6,129件を集計・分析したもの。外国人実習生を受け入れていた農業者の取引先は全体の11.1%だった。

■法人は20.6%が受け入れ

 経営形態で分けると個人で外国人実習生を受け入れているのは6.5%だが、法人では20.6%と全体の割合と比べ倍近くになる。また農業の種類で分けると、稲作や畑作などの「耕種」では8.4%ながら、「畜産」では20.2%だった。

■受け入れは売上規模に比例

 受け入れ人数でみると、個人の農業者では3~5人が42.0%で最も多く、ついで2人が20.8%、1人が19.7%、6~10人が11.2%、11人以上が0.7%となる。法人の農業者では3~5人と6~10人がともに32.4%、ついで2人が17.1%、11人以上が12.1%、1人が6.0%となっている。

 売上規模別でみると、売上1億円以上は31.3%が受け入れているが、3,000万円以上1億円未満は10.5%となり、3,000万円未満では2.0%にまで下がる。

■ベトナム、中国、フィリピンがトップ3

 実習生の国籍で最も多いのはベトナムの38.9%。ついで中国が21.3%、フィリピンが11.2%、インドネシアが7.3%、タイが3.1%、ミャンマーが1.9%、ネパールとインドがともに0.6%、その他が15.7%。

 経営形態や農業の種類でやや割合が異なるものの、ベトナム、中国、フィリピンが上位3カ国となるのは変わらない。ただし全業種での国別受け入れ割合は、ベトナムが38.6%、中国が35.4%、フィリピンが9.9%などとなっていることから、農業分野で中国からの実習生の受け入れが少ないことが分かる。

■外国人実習生「増やしたい」が45.9%

 外国人実習生を受け入れる際の課題で最も多かったのは「実習生の日本語能力」で64.3%、以下「宿舎設備」が53.3%、「技術水準に応じた賃金水準の確保」が34.1%、「休暇等の労働条件」が24.5%、「近隣住民の理解」が15.2%となっている。

 今後、外国人技能実習生の受け入れについて尋ねたところ、「増やしたい」が45.9%、「現状を維持したい」が49.5%で、「減らしたい」は4.6%に留まっており、「実習生の雇用環境を整えることに課題がある」としながらも「実習生の受け入れに対して需要が高いことがうかがえる」としている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事