中国の汚職撲滅AIシステム、取り締り能力が高すぎてお蔵入りか

2019年2月19日 22:08

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記事提供元:スラド

yamajun88曰く、 中国の汚職撲滅AIシステム「Zero Trust」がお蔵入りの危機に瀕しているという(South China Mornig Postカラパイア)。

 Zero Trustは中国科学院と中国共産党が合同で開発したAIシステムで、銀行口座や買い物履歴、政府と企業の各種契約など、中央政府および自治体が所有する150以上の機密データベースにアクセスし、それらのクロスリファレンスをとることで公務員の行動を監視する。監視カメラのデータを顔認証システムで解析して人物を特定することもできる。このシステムを2012年から30の自治体で試験運用したところ、8,731人もの公務員の不正を暴いてしまったというのだ(試験運用を実施した自治体数は全体の1%で、中国全土の公務員の人数は6,400万人以上)。

 例えば、ある道路工事に関する資料からは、工事費用に関する不正が検出された。これは衛星写真との称号で発覚したという。いくつかの自治体はZero Trustによる監視を「不快だ」とし、運用を停止した。また、Zero Trustが摘発した事案が汚職に当たるかどうかの最終判断は人に委ねられるため、Zero Trustの能力に対する人的リソースの不足という問題も生じた。

 結果はともかく、政治とテクノロジーを「正面衝突」させる実験が可能になったというのは情報技術の進歩向上の結果に他ならないと感じる。

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