AIで消える職業を再考察(2) 現実に置き換わるのは事務系 計算値で分からない条件

2019年2月4日 16:54

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■労働組合のやりすぎ

 その一方で、JRなど鉄道各社はAI自動運転に積極的とは言えない。配慮しなければならない最大の問題が、リストラされる運転手関係の再就職先だ。銀行に比較して抑制的動きであるのは、「労働組合」の実質的強さであろう。かつて国鉄が解体されたとき、労働組合の動きは激しかった。現在、JR北海道のガバナンスの弱い原因は、その時、過激な職員をJR北海道に左遷し集めた経緯が尾を引いていると見られる。組合運動が間違って解釈される現在の社会風潮を作った動きともみられる。「労働組合」を毛嫌いする、現代若者たちの風潮は、かなり厳しいものがある。「左翼系労働組合」がやりすぎたのだ。

【前回は】AIで消える職業を再考察(1) 現実に置き換わるのは事務系 電車のAI自動運転が進まないワケ

 主張が当然にある労働者の権利であっても、ものの言い方が受け入れがたいのだ。労働組合の関係者は、それを反省しなければならない。労働組合の弱体化は社会に大きく影響を及ぼし、「格差」を作ってしまっているからだ。話し方を研究するべきである。応援している私でさえも、オルグと話すと怒りたくなる。独善が強く、「社会のはみ出し者」の印象さえ与える。

 しかし、労働組合が機能すれば、AIに対する代替え産業、職業訓練などの対策が進み、失業率の高まりは防げるはずだ。労働組合を中心としてAI時代を迎える対策を話し合ってほしいものだ。

■メカの必要がない事務系が先行

 今回の野村総合研究所とイギリス・オックスフォード大学との共同研究の結果については、計算の基準において、社会の広い条件を配慮していないのが明確である。純粋に「AIの能力」と「職業的特質」しか考えていないと見てよいのだろう。しかし、現実の動きは複雑となろう。そこで、むしろメカ的にロボットに置き換える必要のない事務系の職業が、先にAIに置き換わっていくものと考えられる。各企業ではAIに置き換えて利益を出すことを考えると同時に、人員配置を変えて新たな産業に移行することを目標としてほしいものだ。その意味で、銀行のリストラの仕方には社会的責任を自覚できていないことが気になった。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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