NASAのボイジャー2号、太陽圏を脱出 地球から180億キロの彼方へ

2018年12月12日 22:02

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ボイジャー1号・2号の星間ミッション(C)NASA / JPL-Caltech

ボイジャー1号・2号の星間ミッション(C)NASA / JPL-Caltech[写真拡大]

  • ボイジャーの各宇宙船には、ゴールデン・レコードのコピーがある。(C)NASA / JPL-Caltech

 アメリカ航空宇宙局(NASA)は10日、無人探査機「ボイジャー2号」が11月5日に太陽風の影響が及ぶ「太陽圏」を脱出し、星間空間に達したと発表した。人工の探査機による太陽圏脱出は、2012年の「ボイジャー1号」に続き2機目となる。1997年8月20日、「ボイジャー2号」は、姉妹機である「ボイジャー1号」より16日先に打ち上げられた。当初5年間だった運用予定は大幅に伸び、41年目を迎え、NASA最長ミッションとなった。「ボイジャー2号」は現在、地球から180億キロメートルを超えた位置にいる。

【こちらも】NASAの「ボイジャー2号」41年目、太陽圏を抜け星間空間へ近づく

 「ボイジャー2号」に搭載されたプラズマ観測装置による観測で、11月5日に太陽風(太陽から高速で吹き出る粒子)が急激に減少したことを確認した。太陽圏と星間空間の堺をヘリオポーズまたはヘリオスフィアと呼ぶが、ボイジャーの科学チームのメンバーによるとプラズマ観測装置に加え、宇宙線サブシステム、低エネルギー荷電粒子装置、磁力計の3つの装置からもヘリオスフィアを超えた証拠を観測したと報告された。

 プラズマ観測装置の機能を停止した「ボイジャー1号」とは違い、これらの装置は現在も観測可能であるため、NASAでは、「ボイジャー2号」が移動している星間空間の環境をより明確に把握するために、これらの搭載載器からのデータを用いて引き続き調査したい考えだ。

 ヘリオスフィアを脱出しても、2機のボイジャーは太陽系をすぐに出るわけではない。太陽系の境界は、太陽の重力の影響を受けている小さな天体群の集まりである「オールトの雲」があると予測されているからだ。今後、探査機はその「オールトの雲」に向かうことになるわけだが、その大きさははっきりしていない。1天文単位(AU)は太陽から地球までの距離だが、オールトの雲は太陽から1,000AUの内径から始まり、10万AU(1.58光年)の幅があるとみられている。探査機が内径にたどり着くには300年かかるという。

 また2機のボイジャーには、ゴールデンレコードのコピーが一緒に搭載されている。レコードには、アナログ形式でコード化された115枚の画像、多くの自然音、様々な文化や時代の音楽、55種類の言語のあいさつ(日本語も含まれている)、ジミー・カーター元大統領とクルト・ヴァルトハイム元国際連合事務総長からのメッセージ文なども加えられた。探査機はこの先も長年にわたり飛行し続ける可能性があることから、ゴールデンレコードは現在の文明の痕跡を、地球外知的生命体やはるか未来の人類に伝えるメッセージになるかもしれない。

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