大英博物館所蔵「平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風」を高精細複製 キヤノンなど

2018年10月23日 18:53

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複製された「一の谷・屋島合戦図屏風(左)」(画像:キヤノンの発表資料より)(c) The Trustees of the British Museum

複製された「一の谷・屋島合戦図屏風(左)」(画像:キヤノンの発表資料より)(c) The Trustees of the British Museum[写真拡大]

  • 複製された「一の谷・屋島合戦図屏風(右)」(画像:キヤノンの発表資料より)(c) The Trustees of the British Museum

 英国の大英博物館に所蔵されている江戸時代の屏風絵「平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風」の高精細な複製品をキヤノン(東京都大田区)とNPO法人「京都文化協会」(京都市下京区)が作製し、国立文化財機構文化財活用センター(東京都台東区)に寄贈した。作品は23日から、東京国立博物館で一般公開されている。

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 「平家物語 一の谷・屋島合戦図」は江戸時代の作品で、平家を滅亡に導いた2つの戦いが左右一対の六曲の屏風に描かれている。大きさは縦155.4センチ、横373.8センチ。右に1184年に源義経らが率いる源氏が平家の本陣である摂津福原(現在の神戸市)に奇襲をかけた「一の谷合戦」、左には翌年の1185年、義経らが平家を屋島(高松市)で破った「屋島合戦」がそれぞれ描かれている。

 有名な一の谷合戦の「ひよどり越え」や屋島合戦で那須与一が小舟の扇を弓で射た場面などが描かれ、確かな構成力と緻密な描写力を備えた有力な画人が描いたと考えられている。

京都文化協会はキヤノンの共催で、日本国内外の文化作品の高精細複製を作成し、かつて所持していた寺社や地方自治体に寄贈する「綴(つづり)プロジェクト(正式名称・文化財未来継承プロジェクト」を2007年から続けており、今年度は同作品のほか、「秋冬花鳥図」(狩野派筆)、「津島祭礼図屏風」の3点の複製を製作した。

 作品の複製にはキヤノンのデジタル一眼レフが使われ、撮影データに高精度な色補正処理を行ったうえで、大判プリンターで原寸大に印刷。それに金箔や表装などを施すことで、限りなくオリジナル作品に近い仕上がりを実現している。今年度からはカメラやレンズを刷新し、より高精細な複製が作製できるようになったといい、画像データは約54億画素になるという。

 「平家物語」の屏風は23日から12月2日まで、東京国立博物館(東京都台東区)で展示され、複製作業などの記録映像も、同博物館とキヤノンのホームページで公開されている。

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