理想の家庭的保育、保育ママ制度普及へ

2018年10月17日 09:53

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記事提供元:エコノミックニュース

厚生労働省は保育ママ制度の普及に努めている。保育ママの増加によって、より質の高い保育が提供されることを期待したい

厚生労働省は保育ママ制度の普及に努めている。保育ママの増加によって、より質の高い保育が提供されることを期待したい[写真拡大]

 政府が設定している2020年度末までに待機児童をゼロにする目標を達成するため、厚生労働省は家庭的保育事業、いわゆる保育ママ制度の普及に努めている。10年の児童福祉法改正から8年が経つものの、導入していない自治体も多く、全国に普及しているとは言えないのが現状だ。保育ママを支援する自治体には補助金を支給するなど、保育の可能性を広げていきたい考えだ。

 保育ママ制度は、保育士や幼稚園教諭などの資格所有者で地方公共団体から認定された人が自宅で預かって保育するというシステムだ。保育ママになれる資格は自治体によって若干異なる。対象となるのは原則として0歳から3歳未満の児童で、1人の保育従事者に対して児童は最大3人まで可能だ。もし補助者を置くのであれば保育従事者1人と補助者1人で最大5人までの保育が行える。保育園とは異なり、少人数の児童に対してより密接な保育が行えるため、理想の家庭的保育とも言われる。さらに保育方法などにおいては資格保有者の裁量に任される部分が多いため、信頼関係がしっかり築かれていれば保育ママも保護者も満足度の高い保育が行えるメリットがある。

 ただし保育ママ制度には問題点があることも事実だ。少人数制だからこそ、保育ママ、児童、保護者の相性が問題になる。相性が良ければ満足度は高くなるが、価値観の違いがあったり相性が悪かったりすれば保護者との関係悪化や児童の成長への悪影響が懸念される。加えて保育ママは個人事業主とされるため定期収入の保証はなく、昇給もない。今後保育ママのなり手が増えるかは不透明な状況だ。

 保育ママ制度が全国に普及していけば、待機児童問題の解消に役立つ可能性は十分ある。共働きの家庭が増えるにしたがって、保育の需要はますます増えていくだろう。自治体としても、保育ママ育成のために資格保有者へのアドバイスや研修制度の充実を図っていく必要がある。政府の補助金を十分に活用して、より質の高い保育が提供されることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)

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