パイオニア、日産のライセンス供与で逆走検知ナビ発売 パナソニックの背を追う

2018年10月11日 11:24

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日産が保有する「逆走報知ナビゲーション技術」(写真:日産の発表資料より)

日産が保有する「逆走報知ナビゲーション技術」(写真:日産の発表資料より)[写真拡大]

 パイオニアは10日、日産が保有する「逆走報知ナビゲーション技術」に関するライセンスの供与を受け、逆走検知機能搭載カーナビゲーションを提供すると発表した。

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 国交省の調査によると、高速道路での事故は、死傷事故が全体の約1割であり、9割が物損事故だ。さらに、死亡事故は全体の0.3%となっている。これが逆走事故となると、死傷事故になる割合が5割近くとなり、高速道路全体の事故割合に比べ約5倍、さらに死亡事故の割合は13%と、全体割合の約40倍だ。国交省の発表によれば、高速道路における2016年の逆走事故は、249件。その6割は、インターチェンジやジャンクションで発生。年齢別で見ると75歳以上の逆走事故が45%を占める。75歳以上の免許保有者は全体の6%であるので、高い数値だ。因みに逆相事故の割合は、65~75歳未満では22%、30~65歳未満では25%、30歳未満では8%だ。

 国交省は2015年より逆走事案の分析を強化。逆走開始時の認識(故意/過失)に着目し、逆走の開始位置や要因を分析、逆走対策の知見とする考えだ。2015~2016年の逆走事故508件の内、過失または故意などで逆走開始したものが約7割。故意逆走は、道や行き先の間違いに気付いて戻ろうとする理由が5割以上を、過失逆走は、特段の背景が不明なものが6割を占める。残りの約3割は、最後まで逆走の認識がないという。

 これらを考慮すると、カーナビで逆走を知らせることは有効な手段であろう。

 NEXCO西日本と日産は2010年10月、世界初のGPSを用いた逆走報知ナビゲーションを開発。日産純正カーナビゲーションシステムとして、フーガ ハイブリッドに搭載。現在では日産のすべての純正カーナビゲーションシステムで装着されている。

 他方、パナソニックは5月9日、ポータブルカーナビとしては業界初となる高速道路での逆走を検知・警告する「Gorilla」3機種を発売。パイオニアを抜いて得たカーナビのトップシェアを確実にする狙いである。

 今回の発表は、日産の「逆走報知ナビゲーション技術」のライセンス供与により、パナソニックの独走へ対抗する。カーナビ業界のパイオニアの意地であろう。

●逆走検知ナビの特長

 11月に発売を予定している法人向けカーナビゲーションに日産の「逆走報知ナビゲーション技術」を搭載。具体的な発表はないが、パイオニアの保有する「地図表示」や「危険運転警告機能」をICT技術を含め統合したのであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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