食品への異物混入対策にAI導入へ 農水省が技術開発

2018年9月4日 11:07

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記事提供元:エコノミックニュース

農林水産省は食品への異物混入を防止するため、検品作業の自動化への技術開発を2019年度から行う。いずれは企業が自信をもって、製造段階では異物混入があり得ないと言い切れる時代が来るのかもしれない。

農林水産省は食品への異物混入を防止するため、検品作業の自動化への技術開発を2019年度から行う。いずれは企業が自信をもって、製造段階では異物混入があり得ないと言い切れる時代が来るのかもしれない。[写真拡大]

 農林水産省は食品への異物混入を防止するため、検品作業の自動化への技術開発を2019年度から行う。現在多くの検品作業は人手によって行われているが、AIの画像解析などによって虫などの異物混入をより効率的に見つけることができる。AI導入により食品メーカーとしての労働生産性を高めたい考えだ。

 食品の異物混入に対する国民の関心は非常に高く、異物混入が続けばニュースとして取り上げられ企業が謝罪に追い込まれたり商品を回収したりしなければならなくなることも珍しくはない。そのため企業としても細心の注意を払っているが、異物混入を完全に防ぐことはできていない。これには企業が異物混入を防ぐことよりもクレームの処理に重きを置いているという現状が関係している。実は生産段階で異物が混入していることは稀で、消費者の不注意で異物が入っていると勘違いしていることも少なくない。ところが企業側としてはどの段階で異物が入ったのか分析・調査することは難しいうえ、生産段階で絶対に異物混入がないとは言い切れないため、謝罪や代替品の送付といった顧客の要望を叶えることなどを手っ取り早い解決方法として採用しがちになるのだ。そして異物混入そのものへの解決策は何も進展しない。

 しかしAIを導入することによってこうした負の循環から抜け出すことが可能だ。AIは自主的に異物混入検査の精度を高めることができ、画像解析などを使って人の目よりも正確に異物があるかどうか、不良品かどうかを見極めることができる。画像処理技術を使った機械などには多額の費用がかかるが、AI導入への費用はそれほど大きな負担とはならず、中小企業などでも手の届く範囲だ。農林水産省の技術開発がさらに進めば、企業が検品作業に人員を割くことなくより高度な業務を行えるようになる可能性もある。いずれは企業が自信をもって、製造段階では異物混入があり得ないと言い切れる時代が来るのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)

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