名古屋場所もう一人の主役、豊山 突き押しで飛躍

2018年7月23日 17:27

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 関脇・御嶽海の初優勝で幕を閉じた大相撲名古屋場所。鶴竜、白鵬、稀勢の里の3横綱に加え、新大関・栃ノ心も休場と序盤から上位力士が不在となる中、若手力士の台頭が土俵上を大いに沸かせた。中でも御嶽海と最後まで優勝を争った西前頭9枚目の豊山は、自らの持ち味を一気に開花させたとも感じられる程の充実した相撲の連続だった。

■力強さ溢れる押し相撲で圧倒

 優勝力士に真っ向からぶつかり、白熱の攻防で相撲の醍醐味を見せつけた。12勝を挙げ、千秋楽の土俵でも持ち前の力強さで御嶽海に黒星をつけた豊山は今場所のもう一人の主役と言えるだろう。

 立ち合いから御嶽海の当たりで主導権を握られ、一気の寄りで土俵際まで追い詰められるも粘り強い足腰で懸命に残し、圧力をかけて前へ出る。その後も回り込まれるなど捕まえきれなかったが最後はかけ投げで逆転。大型の両力士が土俵の端から端まで動き回る大相撲だった。

 先場所は自身番付最高位となる西前頭3枚目まで登り詰めながら僅か2勝止まりと上位の壁に屈した。だが今場所は終盤まで優勝争いに食らいつき、横綱不在の場所を大いに盛り上げた。下半身の安定感が増し、初土俵から武器としている突き押しが活きるようになると、8日目から8連勝を記録、14日目には結びで大関高安を「電車道」で圧倒した。

■来場所への期待、再び上位への挑戦

 今場所好調の要因を「迷いがなくなり自分の押しと突きを出すことが出来た」と振り返った豊山。

 更なる飛躍が望まれる来場所、群雄割拠となる激戦を乗り越えられるか。九月場所では3横綱や栃ノ心の復帰が見込まれ、さらには名古屋場所において優勝争いに加われずに終わった豪栄道・高安の両大関も雪辱を期すであろう土俵上は、より激しさを増すことが予想される。

 豊山、初優勝を成し遂げ大関を視野に入れる御嶽海に加え、11勝4敗の好成績で2度目の敢闘賞を受賞した朝乃山とともに上位陣とぶつかる来場所への期待は大きい。同時に、出世争いに躍り出た若き力士たちにとっては、いよいよ実力が試される場所となりそうだ。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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