川村真洋が魅せた“元乃木坂”の本当の価値!

2018年7月1日 21:28

印刷

 国民的アイドルとして5万人の前でパフォーマンスを見せていたメンバーの再スタートを見届けたのは、わずか150人だった……。と書くと、いかにも都落ちの悲哀のようだが、川村真洋の単独ライブは、まさに反撃の烽火のごとく、それを見届けた150人の心を突き動かさずにはいられなかった。

【こちらも】乃木坂46 川村真洋が残した教訓とは?

 6月30日、鮮やかな快晴の日に行われた、元乃木坂46、川村真洋の単独ライブは、150人キャパのライブハウスでのものだったが、チケットが夜の部を含めて300枚が10分で完売したと言われている。

 乃木坂ナンバー1の歌姫と言われ、テレビ東京『カラオケ★バトル』では、アイドルとして初めて決勝進出を果たした川村だが、乃木坂では選抜わずか2回、さらにはスキャンダルにも見舞われ、運営や本人の対応がまずかったこともあり、人気は最下位に近く、乃木坂からの卒業も、事実上の解雇ではないか?などと、ありもしない中傷を受けていることもあって、必ずしも成功を約束された卒業でもソロスタートでもなかったことは残念ながら事実だ。

 しかしながら、彼女には歌という武器があった。

 元々上手いとは言われていたが、乃木坂に入り、自らも鍛えられるとともに、仲間や後輩にアドバイスを送る立場となって、より一層研ぎ澄まされた歌唱力は、実は多くのファンが高く評価していた部分。今回のライブでは、ギターの弾き語りあり、LUHICAやアキラサンセットとのコラボもあり、改めて川村の歌唱力、そして表現力が急激に成長を続けていることを見せつける内容となった。

 かつて「情念を感じる歌」と言われた彼女だが、相手に曲を聞かせるのはでなく、届けるという意識の高さが、一つ一つの曲に思いとなって乗り移り、観客の琴線を震わせるのだろう。

 乃木坂の曲として何度も聞いた『気づいたら片想い』も、ソロで彼女が歌うと、切なさだけではなく、どこか色気というか、女性的な奥深さを感じた。アキラサンセットが彼女のために書き下ろしたという新曲『ターコイズ』は、ライブに参加したほとんどの人がCD化して欲しいと思っているのではないだろうか?

 また、秋元康氏がその歌唱力に惚れこんでプロデュースしたLUHICAとのコラボは、乃木坂やAKBとは違う、本格的歌唱力を追求する可能性も感じられる。

 それにしても、乃木坂結成時には最多人数(6名)を誇った95年組が、今や全員卒業しており、それでいてドラマのレギュラーが決まった生駒里奈をはじめ、正式にアナウンサーデビューを果たした市來玲奈、ファッションブランドとのコラボを発表した伊藤万理華、結婚しながらも、舞台の主役が発表されている畠中清羅、タレントとして順調に露出を増やす伊藤寧々と、全員がしっかりと活動・活躍しているのは凄いことだと……いや、奇跡といっていいのではないかと思う。

 生駒以外はセンターを経験することなく、福神すら生駒と市來しかいない雑草集団。

 それだけにガムシャラに自分を見つめ、汗と涙を流し、喜びも悲しみも人一倍経験してきている曲者ならではの実力がこうして花開いているのは、これから入ってくる、あるいはアイドルを卒業していくメンバーにとって、大きな希望の光になるだろう。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事