進むヤクルトの海外進出

2018年6月18日 11:42

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オーストラリアで販売されているヤクルト。(c) 123rf

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乳酸菌飲料のトップヤクルト本社が、着実な収益の歩みを示している。前期は「6.1%の増収、16.6%の営業増益、13%の最終増益、2円増配の34円配」で着地した。営業利益は会社の期初計画を約20億円上回った。そして今期も「4.1%の増収(4180億円)、7%の営業増益(465億円)、4.2%の最終増益(355億円)、6円増配の40円配」計画でスタートした。

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 同社の堅調については「健康志向の高まり」が指摘される。確かにそれを裏付けるように、前期のヤクルト類の売り上げは期初の前年比2.5%増予想に対し4.8%増となっている。アナリストは「地元資本が中心となって設立した地域別の、例えば〇〇ヤクルトに商品を卸すのがヤクルト本社の事業。〇〇ヤクルトはそれぞれ独自の経営を執っている。健康志向を高める活動も各社がそれぞれ施策を仕掛けた結果。ヤクルト本社は各社に感謝するべき」と、ヤクルト事業の構造を説明する。

 と同時に「ヤクルト本社がいま積極的に展開しているのが、海外事業」と語る。ヤクルト本社がまず進出したのが台湾ヤクルト。1964年に遡る。その後、商圏を次第に広げ現在では37の国・地域で製造・販売がなされている。より詳細にみると前期末時点で、こんな具合だ。

*米州地域:米国・ブラジル・メキシコで宅配・店頭のチャネルで売上高は501億5800万円(前年比10.8%増)。

*アジア・オセアニア:香港・シンガポール・インドネシア・オーストラリア・マレーシア・ベトナム・インド、そしてミャンマーでも製販を開始。前期の売上高は17.7%増の1098億5200万円。中国に関しては販売拠点を42カ所まで拡大。さらなる販売体制の強化を進める意味から既存の無錫工場の敷地内に第2工場の建設を開始、また広東省で新規工場の着工に踏み切った。

*欧州:オランダに製造拠点を置き、オランダ・ベルギー・イギリス・ドイツ・オーストリア・イタリア等で販売している。前期の売上高6.9%増の83億4200万円。

 同社は医療用医薬品・化粧品事業も展開しているが、前期の総売上高に占める海外の「ヤクルト」売上高比率は42%余。

 ヤクルトはいまや、日本の飲み物だけではなくなった。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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