九工大ら、運転者の異常を検知し自動運転に切り替える機能を実証実験

2018年3月8日 17:29

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非接触生体センサを搭載した自動運転車両(写真:九工大の発表資料より)

非接触生体センサを搭載した自動運転車両(写真:九工大の発表資料より)[写真拡大]

 九州工業大学は6日、非接触生体センサを搭載した自動運転車両を導入し、公道における実証実験を開始したと発表した。

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 ドライバーが運転中に意識を失ったり、心臓や脳の障害で急死したりすることによる重大事故の発生のニュースを時折耳にする。運転中の失神や意識障害は、誰にでも起きうる。交通事故総合分析センターの統計では、心臓まひや脳内出血などの急病に伴う交通事故は、2016年に全国で249件に上るという。これに、さらに過労による居眠りなどが加わる。

 九工大では、これら運転中のドライバーの異常を検知して、交通事故を防ぐ取り組みを産官学連携で実施している。具体的な体制は、北九州市および北九州産業学術推進機構と連携し、文科省の地域イノベ―ション・エコシステム形成プログラム及び地域科学技術実証拠点整備事業を採択。非接触生体センサの情報解析と自動運転走行を連動させた世界で初めての自動車の安全運転支援の研究だ。

●安全運転を支援する非接触生体センサの特長

 非接触生体センサと自動運転走行を連動させるシステムは世界初だ。

 具体的には、非接触生体センサにより、運転者の居眠りや疲労等の異常を検知し、自動で手動運転から自動運転へ切り替える。自動運転へ切り替えた後は適切な場所まで自動運転で走行し、数センチメートルの精度で路肩に寄せて自動停止する。

 非接触生体センサは、座布団型の圧膜センサだ。運転席のシートに置くだけで身体には何も装着せず、非接触により姿勢や呼吸、心拍等の生体情報を測定できる。

 実証実験では、当該センサにより運転時の姿勢を計測・分析することで、居眠りや疲労を検知し、自動運転に自動的に切り替えることを確認する。このセンサを導入した自動運転車両に付属しているGPS、レーダー、LiDAR、カメラと連携させるという。

●自動運転支援(九工大、非接触生体センサ)のテクノロジー

 非接触生体センサは、雑音除去技術等をコア技術とした座布団型の圧膜センサだ。このセンサと自動運転車両に備えてある自動運転スステムを融合。自動運転車両から得られる情報と非接触生体センサから得られる情報を人工知能(AI)が統合することで、その後の自動運転、自動停止まで行うことを可能にする。

 自動運転における位置精度は、準天頂衛星システム「みちびき」からの信号を利用したセンチメートル級だ。これはインフラ協調の研究にも使用するようだ。

 北九州市および北九州産業学術推進機構は、九工大の若松キャンパス周囲の公道を実証実験に選定。公道における一般車両を用いた自動運転実証は九州で初めてだという。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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