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【AT車のエンストを甘く見るな(下)】整備士に分からない故障「制御プログラム」
その後、ついに販社本社整備士がテスターを持って検査したところ、「確かに現象は起こっている」と認め、制御プログラムの何かのタイミングを調整して現象を軽減したため、やっと実用にはなった。しかし、その後も、現象が起きるたびに条件を見ていると、ブレーキとアクセルの制御が絡んでいるようだと感じ始めた。
【前回は】【AT車のエンストを甘く見るな(上)】整備士に分からない故障「制御プログラム」
■制御プログラムの関連性が十分にテストされていない
どうやらブレーキがかかっている状態では、燃料噴射量を抑えて燃費をよくする制御プログラムがあるようだった。実は私の運転は、昔からのクセがある。「サイド発進(坂道発進)」と呼ばれるもので、通常はサイドブレーキをかけ、MTならばクラッチをつなぎながらアクセルとふかしていくのだが、私は、ATでも左足でブレーキを踏んでいて、右足で軽く、アクセルをふかしながらブレーキを解除していくのだ。そのようなとき、現在の車ではアクセルをふかしても、燃料噴射が抑えられているようなのである。そのため、右折時に、それを行うとエンジンがふけあがるタイミングが遅れて危険を招くようである。
それに、元来省燃費を優先しているエンジンの特徴のため、「エコモード」を選んでいるときには、余計に燃料噴射タイミングを遅らせているようだった。これらの制御プログラムが、現実の使い方に即して対応できているのかを、メーカーが十分には検証できていなかったのであろう。電子制御が増えれば増えるほど、現実とのギャップが大きくなり、「バグ」とも言えない不具合な状態が出てくる。コンピュータソフト開発現場にいた人物なら、幾度となく経験しているはずだ。これらの「デバッグ」と呼ばれるテスト段階を十分な時間をかけて行えない、メーカーの都合が見え隠れする。
■メーカーの整備体制、法整備を根本的に見直せ!!
メーカーは、整備体制をディーラーに任せ、面倒なトラブルを回避したいのはよくわかるが、不良で事故を起こすことを防ぐため、真摯に現実の欠陥車対策を行うべきだ。AI自動運転が普及してくる中、現状のディーラーの技術レベルについてもメーカーは責任を負わなければならないだろう。ユーザー側としては大変重大な問題だからだ。政府も「日本の製造者責任法(PL法)」を改正し、「当該故障とは無関係な事故であると証明できなければ、賠償責任はメーカーにある」とする欧米のPL法と同じレベルとしなければならない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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