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東芝、アナログAIチップを開発 日本のお家芸である超低消費電力に活路
東芝は9日、組込み機器向けの超低消費電力アナログ人工知能(AI)アクセラレータチップを開発したと発表した。
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開発したチップは、人工知能(AI)を構成するニューラルネットワーク演算の大部分を占める積和演算をアナログ回路で処理。独自の発振回路で、発振時間と発振周波数を動的に制御し、乗算、加算、記憶という処理を一括処理する。結果、積和演算と記憶をデジタルで処理していた場合に比べて、消費電力は1/8に低減したという。
今回の発表では、具体的な回路構成や解説はないが、2016年11月7日発表の「ディープラーニング(深層学習)を低消費電力で実現する脳型プロセッサを開発」を改良、具現化したものであろう。
●クラウドベースAIからエッジコンピューティングへ
AI技術の活用は、画像認識に加えて、製造、物流、医療、金融、インフラ向けなど様々な事業分野への拡大。従来のクラウドベースAIでは、組込み機器に設置した大量のセンサデータをクラウド上のニューラルネットワークで解析する必要がある。
センサとクラウドの間で膨大な量の通信がAI導入の障壁となる一方、通信時間もリアルタイム処理の課題として残る。
組み込み機器(エッジコンピューティング)にAIを搭載できれば、処理を分散できる。そのためには、ハードウェアのコスト低減と低消費電力化が必要であり、今回の発表は、エッジコンピューティングを加速させる可能性を秘める。
●AIチップ(東芝、8ビットアナログAIチップ)のテクノロジー
目指すのは電池駆動に勝るエナジーハーベスト(環境発電)や遠隔無線給電で動作する組込み機器へのAI搭載であろう。
積和演算と記憶を一括でアナログ処理できることは、処理速度と消費電力低減に有効な手段だ。GPUを用いるAI演算では、ニューラルネットワーク上の重みを外部メモリに記憶し、データ転送を必要とする。このデータ転送をなくす仕組みをアナログ回路で実現。
なお、今回の発表で特徴的なことは8ビットの精度でAI処理していることだ。深層学習の研究が進むにつれ、演算の精度を32ビット、16ビット、8ビットと落としても、比較的性能の良いニューラルネットを作れるらしい。さらにビット数を落とせば、さらなるコストや消費電力の低減が実現する。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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