絶望を描きながら喜劇チックな展開が秀逸!「anone」3話レビュー

2018年1月28日 08:05

印刷

ベテラン役者と坂元裕二の脚本が見事にマッチ(c)日本テレビ

ベテラン役者と坂元裕二の脚本が見事にマッチ(c)日本テレビ[写真拡大]

■喜劇チックに物語が動いた「anone」3話
 第2話で大きな動きを見せた「anone」は、脚本を務める坂元裕二らしい台詞が多くの視聴者に刺さり、SNSでも話題となった。その勢いのまま3話に突入したのだが、物語は打って変わって喜劇チックな展開を見せた。

【第2話は】視聴率からは見えない「anone」の魅力、名言だらけの2話はSNSで話題に

■勘違いが勘違いを呼ぶ喜劇のスタート
 偽札のことを亜乃音(田中裕子)から聞き出すため、ハリカ(広瀬すず)をさらった青羽るい子(小林聡美)と持本舵(阿部サダヲ)。しかし、彼女は亜乃音の実の娘ではなく、その上逃げ隠れたカレーショップには拳銃を持った西海(川瀬陽太)が待っていた。

 西海はすでに人を撃ってからカレーショップに逃げ込んでおり、チグハグな状態の3人を威圧。そして、ハリカを人質にして身代金を要求することを提案する。しかし、彼の提案をるい子が「昭和的」と一蹴すると、西海の怒りはさらにエスカレート。ハリカに拳銃を突きつけた写真を舵に撮影させた後、強引にるい子を亜乃音の元へ派遣するのだった。

 その一方、亜乃音は夫と共に働いていた中世古理市(瑛太)と偶然に遭遇していた。久々の再会に喜ぶ亜乃音だが、理市が彼女の元を訪れたのは偶然ではなかった。

■亜乃音とるい子が対峙、そして深まる勘違い
 理市と亜乃音が別れた後、すぐにるい子は彼女にコンタクトを試みる。るい子は「娘を預かった。あなたに助けを求めている」と言うも、亜乃音は「娘が自分に助けなんて求めない」と言い張る。埒が明かないと感じたるい子は、西海が無理矢理撮影した写真を亜乃音に突き付ける。すると、亜乃音はすぐに夫の残した保険金を用意し始め、さらには偽札までるい子に見せてしまう。

 一千万円を受け取るため、西海たちは同じ車に乗って合流場所に向かう。そこで舵はハリカだけでも逃がそうと試みるも、結局は失敗してしまう。無様に捕まってしまい、合流した亜乃音から西海は一千万円を受け取ることに成功する。すぐに舵を連れて逃走する西海だったが、それは偽札のみで本物はるい子が持ち逃げをしてしまう。

 何もかもうまくいかない西海は絶望し、その場で自殺を試みる。その行動を見た舵はすぐに止めようとするも、西海は生まれて40年も経つのに生まれた意味を見いだせない人生を恨み始める。その言葉を聞いた舵は自分が末期がんであることを告白しながら「死んでもいいっていうときは、生まれてきて良かったときなんだよ」と慰さめる。しかし、その言葉も虚しく西海は舵を突き飛ばし、1人で自殺してしまうのだった。

■まるで最終回のような圧倒的クオリティの3話、次はどうなる?
 いきなりの勘違い劇からウィットに飛んだ会話が続いた3話。全体的にコントのようなテンポのいい会話劇で、今までの雰囲気とは一線を画す展開となった。特に、小林聡美と田中裕子のやり取りは貴重で、たばこを吸ってから消すシーンはしびれるものがあった。また、3話ラストでも新たな謎が生まれるなど、今後も目が離せないドラマだ。

 「anone」は水曜22時、日本テレビ系列にて放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事