窮状の薩摩で生きる武士たちを描く!「西郷どん」3話レビュー

2018年1月23日 07:24

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■混迷極める幕末を臭わせる3話

 1月21日に放送された「西郷どん」の第3話。視聴率は14.2%と少し下がる結果となったが、西郷の生きた薩摩藩を語る上で外せない「お由羅騒動」が勃発。さらに、後々まで西郷隆盛と一緒に行動する中村半次郎との出会いなど、見ごたえのある内容となっていた。

【前回は】鈴木亮平が青い西郷を熱演!「西郷どん」2話レビュー

■お金に困る西郷家はついに……

 つらい農民の現状を解決できずにいる吉之助(鈴木亮平)。それは他人事ではなく11人の大所帯である西郷家も困窮を極めていた。吉之助は父の吉兵衛(風間杜夫)に相談し、ついに豪商からお金を借りることを決断。なんとかお金を借り入れることができるも、状態が改善することはなかった。

 何とか薩摩をよくする方法はないかと考える吉之助は、ある日脱藩しようとする武士の一族を見つける。江戸時代に脱藩した者には重い罪が科せられるのだが、薩摩では逃げざるを得ないほど生活が苦しくなっていたのだ。

 武士の一族が逃げ出す姿を見つけた吉之助だが、その中に武士の誇りを捨てきれない中村半之助(中村瑠輝人)という少年に出会う。彼の剣術は少年とは思えない太刀筋であり、その腕に吉之助が惚れ込む。さらに、いつもの癖で吉之助は「おいが、なんとかすって」とできない約束をしてしまうのだった。

■吉之助だけでなく斉彬も動きはじめる

 同じ武士ながらも、半之助の一家が脱藩するのを見逃してしまう吉之助。その件について咎められるかと思ったが、何とか目をつぶってもらうことができた。少しずつ行動していく吉之助だが、同じく斉彬も薩摩藩のために行動を起こしていた。

 斉彬は父である斉興(鹿賀丈史)を隠居に追い込み、自分が藩主となって改革を起こそうと企てていた。その中で、薩摩藩のために不正の金策を行っていた調所広郷(竜雷太)を利用し、幕府にこの件を密告して斉興に処罰を加えようとした。その斉彬の計画を悟った調所は、すべての罪を被るために自ら命を絶ってしまう。

 斉彬の計画を知った斉興と妻のお由羅は、薩摩にいる斉彬一派の断罪を決行。俗に言われる「お由羅騒動」が発生し、その影響で吉之助たちにも影響が出始める。さらに、最も斉彬に近いとされている赤城(沢村一樹)に関しては切腹が命じられる事態となり、一気に追い込まれる形になってしまうのだった。

■暗雲立ち込める薩摩の様子を演出

 幕末に向けてどんどん状態が悪くなっていく薩摩藩。その中で幕府の威厳を維持することを考える人たちや、新しい時代を迎えようとする人間たちが交錯し始めたのが3話だった。斉彬を筆頭に吉之助たちがどのような行動を起こすのか、今後とも楽しみである。

 「西郷どん」はNHKにて毎週日曜日20時から放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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