エリーパワー、銃弾貫通でも燃えない大型リチウムイオン電池を量産

2018年1月20日 22:47

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大型リチウムイオン電池「ELIIY Power」(写真、エリーパワーの発表資料より)

大型リチウムイオン電池「ELIIY Power」(写真、エリーパワーの発表資料より)[写真拡大]

 エリーパワーは16日、容量・エネルギー密度がそれぞれ向上し、さらなる安全性を確立した大型リチウムイオン電池「ELIIY Power」を開発、2月より量産を開始すると発表した。

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 現在実用化されている二次電池で最もエネルギー密度が高いのは、リチウムイオン電池だ。ノートパソコンやスマートフォンなどの携帯用途から、蓄電池や電気自動車などの大型用途まで大きな需要がある。

 このリチウムイオン電池は、発火の危険を伴う。2016年8月には、サムスンのスマートフォン「Galaxy Note 7」の発火事故が相次ぎ、製造・販売を中止したのは記憶に新しい。

 エリーパワーのリチウムイオン電池は、発火の危険を伴わない大型二次電池だ。ホンダの2018年度モデルの二輪バイクが採用。2017年度のグッドデザイン賞も受賞している。

●「ELIIY Power」の仕様

 ・容量:55Ah、電圧:3.2ボルト、エネルギー密度:125Wh/キログラム
 ・質量は1.41キログラム
 ・サイズは170.5(W)× 45.0(D)× 111.9(H)ミリメートル
 ・温度範囲 -20~60℃

●銃弾貫通試験

 発表では、銃弾貫通試験の動画も紹介しており、発煙・発火・破裂が生じないことを実証している。

 銃弾貫通直後に若干電圧が低下し温度が上昇するが、45℃付近で上昇が停止。外観は穴が開いた以外に変化なし。貫通後も電圧がほぼ下がらないため、LEDライトが点灯し続けたという。

●リチウムイオン電池(エリーパワー、「ELIIY Power」)のテクノロジー

 大型のリチウムイオン電池は、万が一の電池管理装置の機能喪失に備え、電池セル単体の安全性確保が最重要と考えている。電池監視回路に依存しないコンセプトだ。

 リチウムイオン電池が不安定になる要因を解決すべく、安全性に優れたオリビン構造を有するリン酸鉄リチウムを正極材に採用し、放熱性も高めた。

 大型リチウムイオン電池として世界で初めて「TUV-Sマーク」を取得。国際的な第三者認証機関TUCの製品安全検査に合格した。

 10年間繰り返し充放電を行っても(約12,000回)、電池容量保持率80.1%以上の長寿命性を実現している。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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