売場で新しい商品が棚の奥にあり、取り辛い その原因は?

2017年12月15日 19:04

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 店舗での陳列棚への品出し方法に『先入れ先出し』があります。日付の古い商品を前に、新しい商品を後ろに陳列する方法です。コンビニでお客さまが牛乳を棚の奥から必死になって取っていますね。あの原因になっている手法です。

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●先入れ先出しとは

 先入れ先出しは量販店、コンビニ等殆どの店舗で行われている品出し方法です。元々は在庫金額の評価方法、在庫管理手法で、在庫を先に取得したものから払い出していく手法です。店舗作業でこの考え方を応用したのでした。

 店舗での陳列棚への品出し作業は結構面倒なことをやっています。先ず棚に陳列されている商品を棚から撤去することから始めます。棚が空いたら、そこの奥に入荷したばかりの日付の新しい商品を入れ、その商品の前に日付の古い商品を戻すのです。結果として、日付の古い商品を前に、新しい商品を後ろに陳列されることになります。

 お客さまは『日付の古い商品を前、新しい商品を後ろにある』ことは周知しており、日付の新しい商品を求めて、棚の奥から商品を取っています。その結果、売場は乱れます。

 店舗作業に売場手直しというものがあります。別名、前陳(ぜんちん)と言って、乱れた商品を棚の通路側にきれいに並べる整理作業をします。

 このように、先入れ先出し作業は、品出し時の古い商品の撤去、お客さまの奥の新しい商品の取り出し、売場の乱れ、売場の手直しというバカバカしいことを発生させているのです。
 

●先入れ先出しに代わる同一アイテム日付別前面陳列

 先入れ先出しは売場に同じアイテムで日付2種類以上の商品が存在した時に必要になります。この時、店舗側の論理では日付の古い商品を早くなくしたい、お客さまは同じ価格であれば新しい商品を買いたいのです。

 そこでこんな工夫をしている量販店があります。同じアイテムで日付2種類の商品がある場合、日付の古い商品には値引きシールを貼り、日付が新しい商品と供にどちらも通路側前面に陳列する方法です。

 そうすることで、品出し時の古い商品の撤去作業はなくなり、日付の新しい商品がほしいお客さまは安心して前面から取り出し、日付が古くても安ければ買うお客さまも前面から取り出します。そのため、売場が乱れず、売場手直し作業も楽になるのです。

 この方法を同一アイテム日付別前面陳列と言うます。牛乳売場、豆腐売場等日付が気になる売場でこの方法を行っている量販店が増えています。皆さんの近くの量販店を確認してみてください。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る

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