「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(7)とうもろこしの取引(高井ひろえ)

2017年12月14日 11:26

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記事提供元:フィスコ


*11:26JST 「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(7)とうもろこしの取引(高井ひろえ)
こんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。

「先物取引」の入門講座として、少しずつ先物取引の魅力をお伝えしています。今回は、「お米」「小麦」と並ぶ世界の三大穀物「とうもろこし」の取引についてです。とうもろこしの需要としては、「人が食べる」というイメージが第一にある方も多いのではと思います。しかし、家畜の「餌」として「飼料用」に用いられることが多いのです。経済発展と所得増加により、食肉需要が増加し餌としての穀物需要を押し上げています。とうもろこしの供給を上回るスピードで世界の人口が増えれば、とうもろこしの価格も右肩上がりなのでは?となるかもしれないですね。もちろんこちらも大きな価格変動要因なのですが、他にも色々な要因があるのです!ご一緒にみてまいりましょう!

■とうもろこしの特徴
とうもろこしは、前回ご紹介したゴムと同様に、季節性に強く影響されます。とうもろこしが収穫される10月中旬から11月にかけては収穫により供給量がもっとも増加して需給が緩和し、価格が下がりやすくなります。一方、翌年の春から夏(端境期)にかけては、とうもろこしの在庫量がもっとも減少し、需給が引き締まり、その結果、傾向的に価格が上がりやすくなります。季節性以外にも、世界最大のとうもろこし消費国であり生産国である米国の動向に大きな影響を受けます。

■価格変動の要因
では、とうもろこしの価格はどのような要因で変動するのでしょうか。まず、とうもろこしは、降水量や気温によって生育度、収穫の進捗が変わってきますので、「天候」が大きな価格変動要因となります。特に、作付けを開始する4月中旬から、収穫の10月中旬~11月にかけての天候です。地域としては、とうもろこしの大産地である米中西部が特に注目されます。該当地域でのハリケーンや干ばつなどがあると、生産量の減少が見込まれ価格は上昇しやすいです。

また、世界最大のとうもろこし消費国である米国の需要のうち、約4割弱は家畜の飼料向けですので、「家畜の頭数」も価格の変動要因になります(家畜が増えると飼料需要が増えて価格が上がる)。参考になる指標ですと、例えば「生牛先物」の価格が堅調だと、牛を飼育する経営者も安心して頭数を増やすことができますので、とうもろこしの価格も連動して上昇しやすいです。また、一般に経済が発展し、所得が増加すると肉の需要が増加することから、米国の雇用環境が良いほど、米国の牛肉の消費は伸びやすいですので、家畜が増えやすく、そのためとうもろこしの価格上昇につながります。

さらに、とうもろこしを原料とする「エタノール」の需要も注目されています。米国では2005年に、ガソリンにエタノールなどの再生可能な燃料を混ぜることを義務付けました。中国でも、今年、「自動車の燃料として2020年までにエタノールをガソリンに混ぜた燃料を全国展開する」と発表しました。このような政策による需要の増加もとうもろこしの価格に影響を与えます。

■最近の動向
10月中旬から11月にかけては、収穫により供給量がもっとも増加する時期で、1年を通して見ると、価格が下がりやすい状況にあります。さらに、2017年は、大産地である米国にて収穫に適した天候が続いたため、豊作見通しを背景とした需給の緩みを意識して、売られています。

それでは、とうもろこし相場のポイントをおさらいしましょう!

■収穫の10月中旬から11月にかけては収穫により需給が緩和し、とうもろこし価格は下落しやすいです。一方、翌年の春から夏(端境期)にかけてとうもろこしの在庫が減少し需給が引き締まるので、価格は上昇しやすい傾向があります。

■世界最大のとうもろこしの消費国であり生産国である米国の動向に影響を受けやすいです。

■最近の動向としては、豊作見通しを背景に売られています。

とうもろこし相場について、具体的なイメージを持っていただけたでしょうか。これからもご一緒に先物取引の基本を学んでまいりましょう!次回は、先物取引はどのように始めればよいのかをお伝えします。

“「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!”は、商品先物取引の基礎をフィスコの見解でコメントしています。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ《HT》

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