矩形シールドマシン「アポロカッター」3例目のトンネル開削に成功

2017年11月21日 21:20

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本体トンネル接続部に到達したアポロカッター。高さ8,090ミリメートル、幅8,480ミリメートル。(画像:鹿島建設発表資料より)

本体トンネル接続部に到達したアポロカッター。高さ8,090ミリメートル、幅8,480ミリメートル。(画像:鹿島建設発表資料より)[写真拡大]

 鹿島建設は、阪神高速大和川線常磐工区のトンネル開削工事において、アポロカッター工法の施工が完了し、本体トンネルへの接続が成功したと発表した。

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 アポロカッターは、矩形、つまり四角いシールドマシンである。一般的には、トンネルを掘るために用いるシールドマシンは、丸いことが多い。しかし、当然ながら、円は面積が広く、掘削断面は大きくなる。

 大きく掘りたいときはそれでいいのだが、特殊なトンネル空間が必要となる場合もある。勾配が強い、ほかのトンネルが近くて地盤が危うい、など、様々だ。そこで開発されたのが、このアポロカッター。掘削断面を最小限にしつつ、任意の、必要なトンネル空間を構築可能とするシールドマシンである。

 カッターヘッド、揺動フレーム、公転ドラムの三点からなる掘削機構が、カッター位置の高度な制御によって、高精度の断面確保を実現する。高速で回転するため、硬い地盤を削るのにも適していて、動作の安定性も高い。

 今回の工区は、下りで8%の急勾配、本線トンネル土留め壁との近接・並走掘進という厳しい条件の中、綿密な安全対策と、厳格な土圧管理のもとでの掘削が求められるものであった。端的にいえば、「非常に難しい工事だった」ということだ。だが、地表面への影響を最小限に抑えつつも、工事を無事に次の段階へと進めることができた。

 アポロカッター工法は、鹿島建設にとって、矩形シールド・推進工法のラインナップであるVERSATILE BOX工法の一つに位置付けられる。(ちなみに、他にはワギング・カッター・シールド工法、EX-MAC工法、R-SWING工法などがある)今回の成功は、VERSATILE BOX工法の積極的な展開を大きく後押しするものであるといえそうだ。

 なお、トンネル工事の工期は、11月30日までと予定されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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