BEENOS Research Memo(6):業績見通しは非開示だが、Eコマース事業については増収増益が続く見通し

2017年11月20日 15:16

印刷

記事提供元:フィスコ


*15:16JST BEENOS Research Memo(6):業績見通しは非開示だが、Eコマース事業については増収増益が続く見通し
■今後の見通し

1. 2018年9月期業績見通し
BEENOS<3328>は2018年9月期より業績見通しを非開示とし、流通総額のみを参考として発表することにした。インキュベーション事業の収益見通しについて、売却益の発生時期や金額などを見積もり、発表することが合理的ではないと判断したためだ。Eコマース事業の流通額については事業売却を決めたネットショッピング事業を除けば前期比実質8%増の430億円を計画している。部門別の内訳では、クロスボーダー部門が前期比15%増の246億円、バリューサイクル部門が同15%増の120億円といずれも2桁成長を見込んでおり、唯一、リテール・ライセンス部門については同24%減の62億円と減少を見込んでいる。利益に関しては赤字だったネットプライス事業が2017年12月から連結より外れるほか、クロスボーダー部門やバリューサイクル部門の拡大により増益基調が続く見通しだ。なお、為替前提レートは105円/ドルと現状の水準からはやや円高水準で想定している。

各事業の取組施策を見ると、クロスボーダー部門のうち海外転送・代理購入事業ではBuyeeでの提携ECサイト拡大と同時に、海外メディアやリアル店舗を含めた小売企業との連携を積極的に推進していくことで流通額の更なる拡大を目指していく。また、グローバルショッピング事業については、ユーザビリティ向上施策として、商品落札時に配送料金含めた費用を確定する「送料事前確定サービス」を2018年9月期上期中にリリースする計画となっている。その後、関税についても事前確定を計画している。従来は、国際送料や関税等は現地倉庫で落札商品を受け取った後にしか算出できなかったため、購入者には目安の金額しか提示できず、使い勝手の面で課題となっていた。同社ではAI技術を活用することでこうした課題をクリアしていく。同サービスを提供することで、ユーザーの購入意志決定が早まり、流通額の増加にプラスの影響をもたらすものと考えている。

バリューサイクル部門では、自社販路比率を2017年9月期の20%から30%まで高めていくことを目標に掲げており、販売手数料率の低下と出品業務のアウトソース化により、低価格アパレル商材等の取引規模もさらに拡大していく戦略を推進していく。リテール・ライセンス部門では、海外でも関心が高いサブカルチャー領域でのコンテンツに関するマスターライセンスの獲得を進め、海外販売展開を進めていく計画となっている。

そのほか、2018年9月期はクロスボーダー部門において新たに物販アービトラージサービスを展開していく計画となっている。アービトラージ(裁定取引)とは金融取引で良く用いられる用語で、同様の価値を持つ商品の一時的な価格差を利用して売買差益を得る投資手法だが、これを物販に応用していくというもの。クロスボーダー部門で得られる世界中の商品情報や購買動向をデータベース化し、AI技術を活用することで最安値情報をグローバルに提供するサービスを構築していくというもの。また、同社では購買動向分析から、商品がヒットする予兆を迅速にキャッチし、いちはやくマスターライセンスを獲得してグローバルに販売していくことで、流通額の拡大を目指している。対象とする顧客は一般消費者だけでなくリアル店舗も含めた中小規模の事業者も含まれ、越境BtoBの事業領域にも展開していくことになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《HN》

関連記事