東京の自転車シェア、都民の7割が認知も利用経験は1割届かず

2017年11月13日 11:19

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記事提供元:エコノミックニュース

CO2削減や混雑解消を目的に試みられている東京都の自転車シェアリング。公共施設等の利便性の高い場所に備え付けられているので都民の認知度は7割と高い一方、実際の利用割合は1割に満たない。

CO2削減や混雑解消を目的に試みられている東京都の自転車シェアリング。公共施設等の利便性の高い場所に備え付けられているので都民の認知度は7割と高い一方、実際の利用割合は1割に満たない。[写真拡大]

 東京都では2020年の東京オリンピックに向けて環境先進都市を目指し、その一環としてCO2削減と混雑解消を目的に自転車シェアリングを推進しようとしている。この取り組みは2016年2月から千代田区、中央区、港区、江東区の都心4区で広域実験が開始され、2017年10月時点で、千代田区、港区、新宿区、中央区、文京区、江東区、渋谷区の7区に広域実験区域が広がっている。自転車の貸出・返却の拠点となるポートは公共施設やコンビニ等の利便性の高い場所に設置され10月1日現在、7区で合計333ポートとなっている。

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 (株)マクロミル、トレンドアイズ事務局は、東京都在住の1万人から東京都の自転車シェアリングについて、その利用状況や利用用途等のヒヤリング調査を行い、10月31日にその集計結果を公表した。調査結果を見ると、まず自転車シェアリングの認知度については、「利用している」が5.1%、「利用していたが利用を止めた」が2.5%で、実際に利用経験のあるものは7.6%にとどまった。最も多かったのが「知っているが利用していない」の62.6%で、これと利用経験のある7.6%とを合計すると70.2%の者が自転車シェアリングを認知していることになり、残り29.8%が「知らない」と回答している。

 現在「利用している」と答えた492人に利用する理由とその用途について質問したところ、その回答は「自分で自転車を所有する代わり」が47.0%、「利用方法が手軽」が41.7%、「料金が安いから」40.9%が上位を占めた。用途については「近い距離の移動」が55.7%と突出して多く、以下、「他の交通手段がない目的地までの移動」33.7%、「通勤・通学」の順になっている。

 自転車シェアリングに対する今後の期待では「料金をもっと安く」が49.8%、「ポートの増加」が44.9%と上位を占め、利用を止めた理由については「都合の良い場所にポートがなかった」が37.6%、「料金が高い」が30.4%と上位を占めている。「知っているが利用したことがない」者に利用しない理由を聞いたところ「自転車を持っている」が49.0%、「行動範囲にポートがない」が31%で上位を占めた。

 これらの回答から見えてくるのは自転車シェアリングの普及への課題は「さらなる低料金化」と「ポート数の増加」であることがわかる。「ポート数の増加」はコストの増大であり「低料金化」と矛盾する。しかし、「ポート数の増加」が利用者数を押し上げることができれば単価を下げることができ「低料金化」と両立する。運営側の経営努力が期待される。(編集担当:久保田雄城)

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