為替週間見通し:もみあいか、法人税減税先送りの可能性も利上げ期待は持続

2017年11月11日 14:54

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記事提供元:フィスコ


*14:54JST 為替週間見通し:もみあいか、法人税減税先送りの可能性も利上げ期待は持続
■ドル・円は伸び悩み、米税制改革実現に対する懐疑的な見方残る

先週のドル・円は伸び悩み。114円73銭まで上昇後、113円09銭まで下落した。米税制改革実現への期待や国内顧客筋のドル買いが増えたことから、ドルは114円73銭まで買われた。しかしながら、トランプ米大統領が日本を含め対米貿易黒字国に対し、貿易不均衡是正を要求していく方針を再表明したことを嫌気して、ドルは113円台に反落した。
その後、米上院共和党指導部は、法人税減税の実施時期を1年延期することを検討していることが伝えられたことから、ドル売り・円買いが優勢となった。

10日のニューヨーク市場では、11月米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値の悪化を嫌気してドル売りが優勢となったが、期待インフレ率の上昇や税制改革実現への期待で米債利回りは上昇し、リスク回避的なドル売りは一服。ドル・円は113円55銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:113円09銭-114円73銭。

■もみあいか、法人税減税先送りの可能性も利上げ期待は持続

今週のドル・円はもみあいか。トランプ政策の柱である税制改革について、法人税減税の実施は2019年に先送りとなる可能性が浮上しており、法案審議の行方が注目される。2018年の施行が決まった場合でも税制改革が中身の乏しいものになった場合、株売り・ドル売りの展開となりそうだ。また、トランプ政権の求心力は弱まり、ドルについてネガティブな要因になりかねない。

ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)による12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げは確実視されており、リスク回避的なドル売りが大きく広がる状況ではないとみられている。15日発表の米10月消費者物価指数(CPI)や10月小売売上高などの経済指標が市場予想を上回る内容だった場合、ドル高・円安の基調は継続しそうだ。

なお、米FOMCの主要メンバーであるダドリーNY連銀総裁が来年半ばに退任するが、市場関係者の間では、タカ派的な見解を有する人物が後任に起用された場合、ドル買い材料になるとの見方が多い。ダドリー総裁の後任人事についてはFRBの金利正常化の観点から引き続き意識されよう。外為市場は来年3回の利上げが行なわれると想定しているが、メンバーの顔ぶれ次第で利上げ見通しは修正される可能性もある。

【米・10月消費者物価指数(CPI)】(15日発表予定)
15日発表の10月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.0%、コア指数は同+1.7%と予想されている。市場予想を一致した場合はドル売り材料にならないとの見方が多い。コアインフレ率が予想を上回った場合はインフレ進行の思惑が広がることから、ドル買いがやや強まる可能性がある。

【米・10月建設許可件数】(17日発表予定)
17日発表の10月建設許可件数は124.2万件と、9月実績の122.5万件を上回る見通し。足元では高水準でとどまるの推移が続いており、予想を上回った場合は住宅市況の改善を意識してドル買いが優勢となりそうだ。

予想レンジ:112円00銭−115円00銭《FA》

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