【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆日米中銀トップ人事◆

2017年11月5日 10:05

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記事提供元:フィスコ


*10:05JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆日米中銀トップ人事◆

〇日米金融政策舵取りに安心感か〇

珍しくNY時間のCME日経平均先物が、22200円乗せで一段高となった。何処にも解説記事が見当たらないので、理由は分からないが、月末のポジション調整が影響した可能性は考えられる(為替はとくに動いていないので、株先の需給要因と思われる)。米株はNYダウ0.12%高、ナスダック0.43%高と堅調だが、FOMC結果(1日)、下院の減税案発表(1日)、次期FRB議長(2日)、雇用統計(3日)などの重要イベントを控え、小動き。CME日経平均先物の1.1%高はやや突出した観がある。1996年の22666円を一旦取りに行くまで勢いが収まらないのか、注目される。

政策変更は無いとの見方で、ほとんど話題にならなかったが、昨日は日銀金融政策会合の結果が発表された(米FOMCも変更はないと見られ、話題になっていない。結果発表で、12月利上げ見通しに変更が出るかどうかが焦点)。黒田日銀総裁は、景気拡大でも緩和策の継続を強調し、短期金利-0.1%、長期金利0%程度のイールドカーブを維持する。「展望レポート」で今年度の物価上昇率予測を1.1%→0.8%、来年度を1.5%→1.4%に引き下げた。

密かに注目されたETF購入枠の見直しも、アッサリと継続を表明。会合に合わせたかのように、30日、31日と連続709億円購入した。質問に対し、「企業収益の見通しは幅広い業種で改善している」と、足元の株高を肯定的に捉え、「過熱感はないとの見方を示した」(日経)。また、各メディアは、来年4月の任期切れ後も、黒田総裁続投を軸に政府検討と伝えた。為替安定や海外連携に高い評価が得られている。続投説が市場に安心感を与え、CME日経平均先物高になった可能性も考えられる。伊中銀総裁にビスコ氏が再任され、伊10年物国債は1.82%と、10ヵ月ぶり水準に低下している(スペイン情勢も影響しているが)。

一方、米メディアは一斉に、次期FRB議長はジェローム・パウエルFRB理事が有力と伝えた。パウエル氏の経歴は、投資銀行ディロン・リード→PE投資ファンド・カーライルグループ→財務省→12年からFRB理事。イエレン議長に近いハト派金融政策(FOMCで一度も反対票を投じたことがない)、ウォール街が長かったためか、イエレン議長とは異なる金融規制緩和(ボルカールール見直し)を主張する。漸次的な利上げ姿勢と規制緩和姿勢がトランプ大統領の眼鏡に合ったとの見方だ。2日の発表後の市場の反応が注目される。

秋相場の背景には、世界景気拡大とともに、先進国金融政策安定との見方が支えていると考えられる。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/11/1号)《CS》

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