ガイアックス Research Memo(4):シェアリングエコノミー市場の成長と連動したアップサイドに期待

2017年10月31日 15:16

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記事提供元:フィスコ


*15:16JST ガイアックス Research Memo(4):シェアリングエコノミー市場の成長と連動したアップサイドに期待
■成長戦略

ガイアックス<3775>は、シェアリングエコノミーを今後の重要な投資分野と位置付け、シェアリングエコノミー領域では現在、BtoCで自社グループのサービス3件、投資20件を擁する。シェアリングエコノミーの成長力を同社の成長力にするために、ソーシャルサービス事業とインキュベーション事業の両面からシェアリングエコノミーを囲い込む戦略を取っており、市場の成長に伴うサポート事業のニーズの拡大を見据えて、BtoBの事業インフラやサポートサービスを併せて展開している。ソーシャルサービス事業では、既存サービスの提供先拡大による収益増加、サービスの強化、新たなサービスの開発をする一方で、インキュベーション事業では、グループ内インキュベーションによる新規事業開発を行うとともに、グループ外インキュベーションによる大きな収益拡大を狙っている。同社連結業績の大幅なアップは、シェアリングエコノミー市場の成長と同領域における事業・企業投資の成否にかかっている。

1. 戦略
(1) 市場及び基本戦略
シェアリングエコノミーとは、乗り物・スペース・モノ・ヒト・カネなど有形・無形のものの共有(シェア)を意味する。例えば、個人が空いた時間や遊休資産をインターネットを通じて提供、貸し借りをすることができる。総務省「情報通信白書 平成27年版」によると、シェアリングエコノミーの世界市場規模は、2013年に150億ドル(1ドル110円換算で1兆6,500億円相当)だったものが、年率約30%で成長し、2025年には3,350億ドル(同36兆8,500億円相当)となる見通しだ。世界で活躍するシェアリングエコノミー企業には、ライドシェアのUber、Lyft、BlaBlaCar、Didi Kuaidi、スペースシェアのAirbnb、途家網などがある。国内でもシェアリングエコノミーは拡大しており、ある調査では2020年度に600億円に達すると予測されている。国内のシェアリングサービスは、乗り物のシェアリングエコノミーであるカーシェアリング、サイクルシェアリング、ライドシェア、スペースのシェアリングサービスである民泊、オフィス・会議室・店舗シェア、駐車場シェア、モノのシェアリングエコノミーであるファッションシェアリングやオンラインレンタル、ヒトのシェアリングエコノミーであるクラウドソーシングやオンラインマッチング、カネのシェアリングエコノミーであるクラウドファンディング、ソーシャルレンディング等、多岐にわたっており、数多くの企業が参入することで活性化している。

同社はシェアリングエコノミーにおける個人間の取引の際に使用できるプラットフォームの提供、他社プラットフォームへの各種サポート及び基盤サービス提供で事業展開を図る。その上で同社は、シェアリングエコノミー市場の中で成長性有望なカテゴリーを押さえ、優良なプラットフォームを提供することで、多くのマッチングに成功し、高いユーザー評価を得ることができると考えている。

シェアリングエコノミーを事業として取り扱うには、ネットコミュニティの存在が不可欠であるが、同社の主力事業は、その育成・醸成のサポートが可能であること、企業・起業家の育成支援が可能であること、シェアリングエコノミー企業とのシナジー創出が可能であること、豊富なノウハウ・知見による「目利き」力があることなどが同社の強みとして挙げられる。同社の企業・起業家の育成支援については、ピクスタとAppBankを法人設立から上場に至るまで支援したことが実績として挙げられる。同社は今後も既存の事業や投資先とのシナジーを重視して投資先を選定していく考えであるが、現時点では新たな投資先の開拓よりも既存の事業・企業のインキュベーションに注力している。

(2) シェアリングエコノミー協会としての活動
一般社団法人シェアリングエコノミー協会を2016年1月に設立、同社の代表執行役社長上田祐司(うえだゆうじ)氏が代表理事に就任した。シェアリングエコノミーの普及・啓蒙や法整備に向けた活動を、同協会を通じて実施している。代表理事として上田氏は積極的な取り組みを続けており、安部首相を議長とする産業競争力会議の実行実現点検会合において、シェアリングシティ構想などの協会プレゼンを実施したほか、シェアリングエコノミー検討会議にも構成員として出席、第3回検討会では、同社連結子会社の(株)nottecoがプレゼンを行った。このような取り組み・働きかけの結果、シェアリングエコノミー検討会議の中間報告では、自主ルールの作成と、政府によるシェアリングエコノミー促進センター(仮)の設置という、シェアリングエコノミーを政府が推進していく方針を引き出した。自主ルールでは、シェアサービスの利用を促進するため、個人間取引におけるトラブルや事故の回避を目的として2018年春を目処にルールが策定される見通し。また、シェアリングエコノミー促進センター(仮)の設置により、関係省庁との連絡調整も行うほか、政府からもシェアリングエコノミーの推進に向けてバックアップされる。法整備や官公庁対応にも注力し、普及への環境整備に積極的に取り組んでいる。

(執筆:フィスコアナリスト 廣田 重徳)《MW》

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