帝人ファーマ、米メーカーの磁気刺激によるうつ病治療機器を販売

2017年10月17日 19:39

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「NeuroStar」の使用イメージ(画像: 帝人ファーマの発表資料より)

「NeuroStar」の使用イメージ(画像: 帝人ファーマの発表資料より)[写真拡大]

  • 「NeuroStar」治療装置

 帝人ファーマは16日、米国の医療機器メーカーであるニューロネティクス社より、うつ病の治療装置である「NeuroStar」の日本における独占販売権を取得したことを発表した。18年度中に医療機関に向けた販売開始を目指すという。

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 「NeuroStar」は08年に、うつ病治療機器として米国初のFDAによる承認を受けて以来、約10年に及ぶ治療実績を持つ。17年9月には日本国内初の成人うつ病患者に対するrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)装置として、厚生労働大臣による承認を取得している。

 機能としては、磁気コイルを頭部に当てることで、非浸食的に「左背外側前頭前野」へ磁気刺激を与えることができる。この刺激が脳内に電流を誘導し、神経伝達物質の放出を促すことで脳内を活性化させるという。活性化により、血流量及び糖代謝が増大することで気分が改善し、うつ症状の軽減や消失が期待されている。

 外来での通院治療が可能とされ、1回の治療に要する時間も約37分という。治療は週5回、4週間から6週間行う。施行中、患者の意識ははっきりしたままで、必要であれば操作担当者との会話も可能。治療後にすぐ日常生活に戻ることができ、車での通院も問題ないという。

 薬物ではないため、抗うつ薬を服用したときに見られる副作用はない。一般的な副作用としては、治療中に生じる治療部位の痛みや不快感だが、軽度から中度のものであり、治療1週目のみの症状としている。

 あくまでも治療対象患者は、標準の抗うつ薬で改善を得られなかったうつ病患者。「誰にでも適している」治療法ではないため、専門医から機器の効能の説明を受けたうえ、自分に適した治療法であるかどうか判断してもらうことが必要という。

 一般的に、うつ病の治療には薬物療法と非薬物療法がある。治療は通常、会話療法と抗うつ薬投与の併用療法から始まるが、服薬による副作用もあることから、全ての人に効果があるわけではない。

 こうしたケースに備えた非薬物療法として、医療機器を使った治療法がある。具体的には、経頭蓋電磁刺激法(TMS)、電気けいれん療法(ECT) 、迷走神経刺激法(VNS)などが挙げられる。

 なかでも本製品の治療法である経頭蓋電磁刺激法(TMS)は、磁場のパルスにより脳の神経細胞を刺激する方法として、抗うつ薬療法で効果がない患者にとって画期的な治療法とされている。

 厚生労働省によると、国内のうつ病患者は潜在患者まで含めると約250万人。その治療法は百人百様とも言われているため、新たな治療法の選択肢が広がることは歓迎していきたい。

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