「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(2)先物取引が必要な理由とは?(三井智映子)

2017年10月16日 10:07

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記事提供元:フィスコ


*10:07JST 「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(2)先物取引が必要な理由とは?(三井智映子)
皆様、はじめまして。フィスコマーケットレポーターの三井智映子です。前回、「先物取引って何?」という疑問にお答えしましたが、「私は現物オンリーだから関係ない」という投資家の方もいらっしゃるかもしれません。いえいえ、そんなあなたにも「先物取引は他人事ではない!」のです!ということで今回は、先物市場が必要な理由について確認してみましょう。

■おさらい:先物取引とは?
まず先物取引についてのおさらいから。「決められた価格で、未来の決められた日時に、商品などを売買することを約束する」という取引です。将来の売買の約束を現時点で行う売り買いする、と考えるとわかりやすいかもしれません。対象は価格変動のある商品となります。
先物取引では原油先物が有名ですが、ほかにもガソリン、ゴムのほか、金、プラチナ、銀、パラジウムなどの貴金属、とうもろこし、大豆などの農産物などが商品先物として取引されます。また、商品ではありませんが、為替や株価指数なども先物で取引されています。

■本題:先物取引が必要な理由
では本題の先物市場が必要な理由を一言でいいますと、「現物価格の安定」を図ることでしょう。具体的には、(1)リスク回避、(2)公正な価格形成、(3)需要と供給のバランス調整、という大きく3つの理由があります。順番にみていきましょう。

まず(1)リスク回避について。
実は世界の商品先物取引の原点は日本にあります。大坂(今の大阪)の堂島にある淀屋米市(よどやこめいち)では、米俵をやり取りするのが大変だったので商人たちが工夫して「米手形」という形で帳簿上の取引をしていました。その後、徳川吉宗の命で大岡越前が「帳合米取引(ちょうあいまいとりひき)」という形でお米の先物市場を整備したといわれています。
先物取引は約束した価格で将来の商品をいま売買できることになるので、生産者にとっては将来の売り上げを事前に確保することができます。その後、農作物の値段が急騰した場合には損をした気分になるかも知れませんが、逆に急落した可能性もあるわけですから、あらかじめその価格で買ってくれるという点で、価格変動リスクを回避する、保険的な機能を果たしているのです。

次に(2)公正な価格形成について。
先物市場では、数多くの取引参加者がそれぞれの異なる目的や価値観に基づいて売買します。市場ではルールも決まっているため、買占めや売り崩しができないようになっています。誰かが好きなように価格を動かすことができないので公正な価格が形成されることになります。

最後に(3)需要と供給のバランス調整について。
例えば原油の先物価格が上がった時は、将来的に需要が供給を上回るという市場予測の表れだと考えることができます。そのため、原油先物価格が上がったときに生産者は原油生産を増やそうとしますし、消費者は購入を控えようとします。すると、需要が減り供給が増えることになりますので、価格の上昇を抑えることになるでしょう。つまり、先物市場が将来価格を予測することで現物市場でも需給のバランスが保たれて価格も落ち着くことになります。価格が下がった場合はその逆の動きになります。このように、先物市場が需要と供給のバランスを予測してくれるのです。

ではここで、先物取引がなぜ必要なのか、ポイントをおさらいしましょう!

■リスク回避
将来、現時点で約束した価格で商品を売買できるので、生産者のリスクを低減させる効果がある。

■公正な価格形成をする
数多くの取引参加者がそれぞれの異なる目的や価値観に基づいて先物市場で売買をすることで公正な価格形成につながる

■需要と供給のバランス調整をする
商品の先物価格が上がるのは将来的に需要が供給を上回るとの予測の表れといえます。需給関係はバランスをとる方向に向かうので上昇した価格には下降圧力が、下落した価格には上昇圧力がかかります。

先物取引が必要だと理解していただけたでしょうか!これからもご一緒に先物取引の基本を学んでまいりましょう!

“「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!”は、商品先物取引の基礎をフィスコの見解でコメントしています。《DM》

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