17年度上半期 軽 販売好調!車市場は社会の鏡 HONDA・N-BOXで15年ぶりに首位奪還

2017年10月9日 07:04

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ホンダの新型「N-BOX」。(写真: 本田技研工業の発表資料より)

ホンダの新型「N-BOX」。(写真: 本田技研工業の発表資料より)[写真拡大]

 2017年度上半期(4~9月)の車名別新車販売台数(軽自動車を含む)が発表され、ランキングではホンダの軽自動車「N―BOX」が首位となった。(日本自動車販売協会連合、全国軽自動車協会連合会)販売台数は9万4,601台で、前年同期比約10.6%増であった。2位がトヨタのプリウス7万8,707台で、同42.4%減。3位が日産のノート6万8,441台で、同68.5%増。ホンダが上半期でトップになるのは2002年度上期のフィット以来で、15年ぶりになる。

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■発売後、累計受注台数5万2000台超

 ホンダは、9月1日に新型「N―BOX」を発売したばかりで、発売後約1カ月での累計受注台数は、5万2,000台を超える好調な立ち上がりだという。販売計画の月販1万5,000台を大きく超えている。

 ユーザーの購入ポイントの1つは、安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」であり、全グレードに標準装備されているのがやはり魅力のようだ。また、軽乗用車で最大級の広い室内空間も1役かっているだろう。

■軽自動車ブームに拍車

 2017年度上半期(4~9月)の車名別新車販売台数のランキング4位からは、4位デイズ(日産)、5位ムーヴ(ダイハツ)、6位タント(ダイハツ)、7位アクア(トヨタ)、8位C-HR(トヨタ)、9位ワゴンR(スズキ)、10位ミラ(ダイハツ)となっている。

 1位のN-BOXを含めて、上位10位内で軽自動車は6車種となる。前年と比べると3車種増えている。1985年には22.4%だった全国の自動車保有台数に対する軽自動車の比率は、2016年には39%と年々上がる傾向にある。ホンダの、軽自動車の販売比率も45%にまで高まっているのだ。

■車市場は社会の鏡

 軽自動車ブームが日本市場の現状だが、景気が良いと言われて久しい。この景気は企業に利益が蓄積されていくだけで、実質可処分所得が若い人を中心に増えない結果になっていることが底流となっている。たしかに上場会社の配当金総額は13兆円に上るが、これでは「投資家」は潤っても、労働者に回らない。格差が広がり、個人消費は伸びない。車市場だけが伸びるはずもない。

 もう一つ大きいのは年金など社会保障に信頼感が失われて、個人も貯蓄に一生懸命だ。軽自動車が運転支援システムも装備し、あらゆる性能で小型車に迫る優秀な性能を持ち始めている中では、より大型の車を買おうとしなくなる。軽自動車が優秀なだけに小型車が売れない。何とも皮肉な結果だ。

 ホンダは、国内工場2つを1つにと2021年までに再編することを決断している。現在、国内生産力約100万台と言われるが、それを80万台程度に縮小する。市場規模に合わせた縮小計画だ。たしかに日本市場が拡大する情報はない。しかし、トヨタは運転の楽しみを訴えかけ、スポーツ性を打ち出したりしながら、市場の活性化に注力している。ホンダはF1の失敗など前向きな努力が実を結ばない。ホンダに何かが起きている。

 国内市場の活性化策には、トヨタのように「市場開拓の努力」が必要だ。ホンダも日本国内市場を活性化する努力をしてほしい。本田宗一郎の精神に戻って、出直す必要があるようだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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