立命館大学、映像から人の睡眠状態を分析するセンシング技術を開発

2017年10月1日 17:12

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体動計測による睡眠深度推定(差分処理)。(画像:立命館大学発表資料より)

体動計測による睡眠深度推定(差分処理)。(画像:立命館大学発表資料より)[写真拡大]

 立命館大学理工学部の岡田志麻准教授は、人の体動のみから睡眠を計測する、無拘束・非接触式の画期的なセンシング手法を開発した。

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 睡眠計測と一口に言っても、何を測定するかなどによって色々なシステムが実用化されているが、いずれにせよ、身体にセンサを取り付けたり、大型の検査設備を用いたりするものが主流である。

 現在主流な睡眠計測装置は「睡眠ポリグラフ検査」と呼ばれるものであるが、これも接触式のセンサを用いて脳波、心電図、眼球運動、筋電図、血中酸素飽和度などを連続的に記録する。

 しかし、岡田准教授の考案した方式はこうしたものとは根底から異なる。具体的な測定は、「カメラで撮影」するだけでよい。後は映像を解析し、睡眠深度、健康状態などを割り出すことができるという。

 広く知られているように、人間の眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠がある。レム睡眠とはREM(Rapid Eye Movement)、急速眼球運動を伴う、浅い眠りのことだ。1953年、シカゴ大学の研究グループが発見した。

 だが、眼球の運動をわざわざ測定しなくても、レム睡眠を測定することはできるのだという。レム睡眠とノンレム睡眠は正常な睡眠においては交互に繰り返されるが、それを経て睡眠全体は深度を増していく。そして深度を増すにつれ、身体の動く回数や時間などが減っていく。

 その動きを分析するだけで、「体動量」「体動連続時間」「静止持続時間」などのパラメータから、「レム睡眠」「軽い睡眠」「深い睡眠」「覚醒」の4段階の睡眠深度を推定するアルゴリズムを、岡田准教授は開発したのだ。

 実際に睡眠深度を推定する実験も行われたが、正答率は約80から90%に達し、既存の睡眠ポリグラフと比較しても遜色のない性能が実現されているという。

 ちなみに睡眠深度の計測は、疾病や発達障害など、多くの問題の早期診断に役立てることが可能である。そちらの診断システムとの連動も、現在鋭意研究中であるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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