ビットコインを巡る中国のジレンマ~eワラントジャーナル(馬渕磨理子)

2017年9月22日 18:29

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記事提供元:フィスコ


*18:29JST ビットコインを巡る中国のジレンマ~eワラントジャーナル(馬渕磨理子)
こんにちは、フィスコマーケットレポーター馬渕磨理子の「eワラントジャーナルの気になるレポート」です。

eワラントジャーナルのコラムで「中国の抱えるジレンマ」について興味深い記事を見つけましたのでご紹介いたします。

ビットコインのボラティリティが上がっていますね。分裂騒動で大きなボラティリティを見せたビットコインが今月に入って再度不安定な動きとなったのは、同コラムによると、『中国の金融当局が「企業や個人が独自に仮想通貨を発行して資金調達するICO(イニシャル・コイン・オファリング)を全面的に禁止する」と発表したこと』がきっかけのようです。

もともと、中国では人民元の下落に備えて、資産をドルに替えたくても自由にはできなかったことから、仮想通貨がその受け皿になっている傾向がありました。そうすると、人民元と仮想通貨の値動きは逆相関になり、人民元が上昇すれは仮想通貨が下落する傾向があります。ですので、仮想通貨と人民元のバランス関係は当局が注視しています。

同コラムによると、『現在、中国政府は国内における(ビットコインなどの)仮想通貨の取引所閉鎖を計画している』ようです。中国がここまで神経を尖らせるのには、2つの理由について同コラムで述べています。

1つ目は、「ICOや仮想通貨により金融秩序が揺らぐこと」です。『中国ではそもそも外貨取引が厳しく制限されており、仮想通貨が違法な資金洗浄(マネーロンダリング)や資金の海外流出につながる、いわゆる「規制の抜け道」の1つとなっている実態』を当局は認識しています。このように、『「仮想通貨」の「仮想相手通貨」として「人民元」はうってつけ』なのだそうです。

2つ目は、「元が仮想通貨の相手通貨となっていることが結果的に人民元相場に影響をおよぼしている状態」です。『中国は“自らが蒔いた種”とはいえ、「仮想通貨安」が招いているとも考えられる「人民元高」にナーバス』になっているようです。『先週、2015年夏の通貨切下げ以降続けてきた人民元売りの抑制策をついに撤廃』することを発表しています。『具体的にはこれまで、金融機関が「人民元売り=他通貨(ドル)買い」の為替予約をする場合は、中国政府(政府系金融機関)に「危険準備金(無利子)」として、予約残高の20%相当分を預託しなくてはならなかったのであるが、これを撤廃』しました。

このように、仮想通貨への規制を強化し、仮想通貨が下落した場合、人民元には上昇圧力が働くことになります。しかし、急激な「人民元高」は貿易輸出の際には不利になります。

『仮想通貨は根絶したい』しかし、『人民元高は輸出への影響が大き過ぎる』。このジレンマを抱える中国ですが、仮想通貨の採掘量は世界最大ですので中国政府の仮想通貨動向からは目が離せません。

なお、上記の記事の詳細は、eワラント証券が運営している「eワラントジャーナル」の9月19日付のコラム「ビットコインを巡る中国のジレンマ」にまとめられています。

馬渕磨理子の「気になるレポート」は各種レポートを馬渕磨理子の見解で注目し、コメントしています。レポート発行人との見解とは異なる場合がありますので、ご留意くださいませ。

フィスコマーケットレポーター 馬渕磨理子《DM》

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