西アフリカの主要作物「ヤムイモ」のゲノムを世界で初めて解読

2017年9月21日 07:52

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西アフリカのヤムイモ市場。(画像:国際農林水産業研究センター発表資料より)

西アフリカのヤムイモ市場。(画像:国際農林水産業研究センター発表資料より)[写真拡大]

 岩手生物工学研究センター(IBRC)、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、そしてナイジェリアの国際熱帯農業研究所(IITA)による国際共同研究グループは、西アフリカにおいて重要な主要作物であるヤムイモの一種「ギニアヤム」の全ゲノム配列を、世界で初めて解読することに成功した。これにより、西アフリカにおける食糧生産、栄養状態の改善が期待できる。

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 ヤムイモとはヤマノイモ目ヤマノイモ科ヤマノイモ属の中で、芋を食用とする種の総称である。日本でも知られているナガイモやジネンジョもその仲間であるが、西アフリカでは特に主食として重要な作物となっており、西アフリカにおけるヤムイモの年間生産量は約5,400万トン、世界のヤムイモ生産量の95%を占める。

 しかし、このように栽培・消費地域に偏りがあることから、品種改良や研究、技術開発などはほとんど進んでいなかった。

 JIRCASは、西アフリカにおける今後の人口増加に伴う食糧問題の解決、そして小規模農家の収入増加などの目的から、ヤムイモの生産性の向上、品質の改良などに着目してきた。2011年度から、現代の品種改良においては欠かせないゲノム情報の整備、そして育種技術の開発などを進めている。

 この研究では、ヤムイモのDNA情報に基づいた育種を可能とするため、西アフリカのヤムイモの中でも代表的な種といえる、ギニアヤムのゲノム配列を解読した。

 また、解読したゲノム情報を元に、性別を決定する遺伝子座が同定され、幼植物期において雌雄を識別するためのDNAマーカーを開発することができた。ヤムイモは品種・系統によって雄・雌・両性の株に分かれ、従来は開花するまでその性別が分からなかったので、そのことが品種改良の障害となっていたのだ。

 なお、研究の詳細は、BMC Biologyのオンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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