シニアのスマホ所有が進む、ネット利用傾向にも変化 ビデオリサーチが調査

2017年9月13日 11:53

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 ビデオリサーチは「Senior+/ex(シニアプラスエクス)」の最新データ(2017年4~6月調査)から、敬老の日にちなみ「シニアとインターネット」について分析した結果を発表した。なお、この分析は同社のシニア研究チーム「ひと研究所VRエイジング・ラボ」が主体となって実施している。

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 ここ数年急速に普及しているスマートフォンは、若年層だけでなくシニア層においても普及は進んでいるようだ。ひと研究所VRエイジング・ラボの調べによると、東京50km圏では60代前半の3人に2人、60代後半では2人に1人、70代前半で3人に1人がスマホを所有。スマホ所有率が高い60代では当然ガラケー率は下降線をたどっている。70代ではスマホを所有にはまだ消極的で依然ガラケー率は高いようだ。

 スマホ所有率の上昇に伴い、シニアのインターネットの利用にも変化がでている。まずは直近3年間のネットの利用率をデバイス(端末)別にチェック。各年代ともパソコンでの利用はほぼ横ばいなのに対し、スマホでの利用は大きく上昇している。スマホ所有率の上昇とパラレルにネット利用率も上昇。これは、従来型の携帯電話、いわゆるガラケーの所有率とネットの利用率が乖離しているのとは対照的な傾向であり、スマホならではのインターフェイスが、シニアの手元での情報探索行動を促していると推測される。

 スマホの普及で端末の使い方にも変化が見られた。パソコンとスマホそれぞれのネット利用者で見比べてみると、スマホで利用が高かった上位には、「LINEなどのメッセンジャーアプリ」をはじめ、「メール」「SNS」「天気」「ニュース」「芸能・スポーツ情報」「クーポン」「グルメ情報」など。一方、パソコンでは、「動画の視聴」、「価格・商品比較サイト」「旅行・ホテル情報、チケット予約」などだ。

 つまり、メッセージのやり取りや、その場ですぐ入手することに価値のある情報、速報的な情報はスマホを利用し、じっくり吟味したい情報や、手元では見にくい情報、決済が絡む情報などはパソコンとシニアも使い分けている。スマホに慣れている若年層でもこういった使い分けをしている人は多い。つまりスマホを所有したシニアは、端末の利点を把握し、上手に使い分けていることが分かった。

 シニアは機械音痴という時代は終焉を迎え、今後もそのスマホ使用率はさらに加速していくだろう。より一層シニアのスマホ所有を上昇させるには、スマホのインターネットへのアプローチのしやすさを上昇させることと多くの専門家は分析している。シニアの購買促進のキーポイントとなるかもしれない。(記事:久保圭大郎・記事一覧を見る

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