化粧品の国内市場、スキンケアが拡大をけん引 「インスタ映え」も重要に

2017年8月29日 20:52

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化粧品の国内市場(写真: 富士経済の発表資料より)

化粧品の国内市場(写真: 富士経済の発表資料より)[写真拡大]

  • 化粧品の価格帯別市場(写真: 富士経済の発表資料より)

 富士経済は28日、大都市圏の百貨店やドラッグストアを中心に好況の続く化粧品の国内市場について調査結果を発表した。16年の市場は前年比3.3%増の2兆5,294億円、17年は同2.7%増の2兆5,985億円が見込まれている。国内での需要開拓が進むスキンケア市場や、「インスタ映え」する商品が人気のメイクアップ市場が、市場全体をけん引している。

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●好調な高価格帯市場

 16年に伸長したのは高価格帯で、前年比4.9%増の7,468億円となった。インバウンド需要のトレンドが商品そのものより「体験」に移行し、フェイシャルマッサージやメイクアップサービスなど日本のきめ細かいサービスが人気を博している。17年はスキンケアによる「シワ改善」を特長とした商品がトレンドになりつつあり、高付加価値訴求のブランドが引き続き好調を維持すると見られている。

 中価格帯はスキンケア・メイクアップともに新興通販ブランドが好調。ワンステップにてすべての工程が終えられるオールインワンゲルや、メイクの脂汚れや黒ずみを落とすクレンジングにおいて存在感を高めている。低価格帯も美容成分を含んだシートを顔にのせるシートパックなど、トレンドを押さえた新商品の需要拡大が見込まれている。

●口元に重点を置いたリップメイクが好調

 16年の市場は、同8.8%増の882億円。口元に重点を置くリップメイクが近年定着し、市場拡大を続けている。手持ちの口紅の色身を変えるリップグロスや唇をほんのり染めるティントタイプの需要も増加。低価格セルフブランドを中心としたカラーリップも10代女性の需要を喚起したしたことから、さらなるリップメイクの市場拡大が期待されている。

●その他、時短ケアやアイメイクも堅調

 時短を志向する消費者を背景に市場は拡大を維持。洗顔後のケアを1アイテムで完了させるオールインワン商品が17年以降には一層の拡大が期待されている。アイメイクは自身の眉やまつ毛を生かすメイクが定着。インバウンド需要の獲得も順調に進み、一人当たりのアイシャドウの使用本数も増加していることから安定した伸びが見込まれている。

●インスタ映えする「パケ買い」の需要増

 若年層を中心に需要が高まっているのが、中身をよく知らないまま購入してしまう「パケ買い」。本体そのものの可愛さで、インスタに載せたいと思わせるコスメが業界では重要なキーワードになっているという。化粧品の「品質」というのは個人により相性があるため、実は訴求力という点ではあまり強くない。一方で、インスタグラム等のSNSにおいて、多くの女性に「可愛い」と視覚に訴える商品こそ多くの需要を取り込んでいるという。

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