北朝鮮ミサイルが日本上空通過で地政学リスク高まる 8月29日のドル円為替

2017年8月29日 10:36

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8月最終週がスタートしている。先週はようやく落ち着いてきたトランプ政権だったが、トランプ大統領が政府機関を閉鎖してでも壁を建設すると発言して波紋を広げた。期待されたジャクソンホール会議だったが、イエレンFRB議長は金融政策に触れなかった。年内の追加利上げ観測は低下している。市場ではドル売りの傾向が続き、1ドル109円32銭でクローズしていた。

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 状況が大きく変わったのは北朝鮮が弾道ミサイルを発射したタイミングである。8月29日5:58(すべて日本時間)に北朝鮮は日本に向けてミサイルは発射した。国内ではJアラートが一斉に鳴り始めた。6:07ごろには日本上空を通過。6:12ごろに襟裳岬の東1180km地点の太平洋上に落下したと見られている。北海道を横断した形だ。日本は直接的な行動や対応を起こせないものの、アメリカの同盟国ということもあり、地政学リスクが一気に高まった。リスク回避のためにドルが売られ、円が買われることになったのだ。

 8月28日は9:00に1ドル109円40銭をつけた後は、ドルは下落し、13:50には1ドル109円02銭の下値をつけている。しかし21:30に発表となった7月卸売在庫速報値が前月比+0.4%と事前予想の+0.3%を上回ったことで、ドルはやや戻し、22:00ごろには1ドル109円41銭上値をつけている。日付の変わった29日にかけてドルの売り戻しが始まり、そこに北朝鮮ミサイル試射の報道が飛び込んだ。7:30ごろには1ドル108円33銭までドルは下げている。日本市場がオープンしても1ドル108円台後半で推移している状況だ。

 本日注目すべき経済指標には、23:00から消費者信頼感指数の発表がある。8月30日にはADP雇用統計、第2四半期GDP確定値、7月個人支出(PCE)、PCEコアデフレータの発表だ。地政学リスクへの警戒が高まる中ではあるが、米国経済の状況にもしっかり目を向ける必要があるだろう。トランプ政権と議会との関係が修復されるのかにも注目していきたい。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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