ハト派寄りFOMC議事要旨とトランプ大統領の対応鈍さでドル安 8月17日のドル円為替

2017年8月17日 10:55

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 注目されていたFRBによる7月FOMC議事要旨の公表が行われた。ポイントはバランスシート縮小の開始時期と、年内の追加利上げが実施されるのか延期されるのかである。バランスシート縮小が実施されるのは、市場ではすでに織り込み済みなだけに、為替相場に重大な影響を及ぼすのは追加利上げだ。

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 8月15日(すべて日本時間)に発表された7月小売売上高とニューヨーク連銀製造業景気指数がポジティブサプライズであったことから、ドル買いが盛んになり、16日2:30ごろの1ドル110円39銭から22:00ごろには1ドル110円95銭の上値をつけた。その後は公表されるFOMC議事要旨の内容を待っての様子見ムードが続いたが、トランプ政権のトラブルの報道があり、リスク回避の動きからドルが売られ始める。

 発端は南部バージニア州で発生した白人至上主義とその反対派の衝突だが、問題視されたのはトランプ大統領である。迅速な対応をとらなかったことで、戦略政策フォーラムと製造業諮問委員会のトップが辞任を発表。トランプ政権のアジェンダ実現がさらに遅延されることに警戒感が強まった。その後、トランプ大統領が両諮問委員会の解散を発表している。

 トランプ大統領の発表の直後となった3:00に7月FOMC議事要旨が公表された。「バランスシート縮小スタートは9月ということでおおむね一致」「2%のインフレ達成には予想以上に時間がかかる」「追加利上げについては見送るべき」との見解が示された。ハト派寄りの内容に市場は敏感に反応し、ドル売りはさらに加速することとなった。10年債利回りも低下、金利先物市場での12月追加利上げ観測も40%台を取り戻していたが、30%台まで下がっている。3:30には1ドル110円03銭まで急落した。10:30時点ではさらにドルは下がっており、1ドル109円74銭の下値をつけている。

 朝鮮半島を巡る地政学リスクは低下しているものの警戒は必要であり、ロシアゲート疑惑やトランプ政権の政策がまったく進まないことへの懸念なども重なり、追加利上げ観測が後退したことでドルの上値はさらに限定的になっている。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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