米インフレの低迷が顕著に 北の地政学リスクも高まる 8月11日のドル円為替

2017年8月11日 13:16

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ついに1ドル109円を割るところまで円高ドル安が進んだ。トランプ大統領のコメントから地政学リスクがさらに高まり、しかも注目の米国インフレ状況を見定める経済指標が低調。ドル売りは加速していく一方となっている。本日の日本市場は祝日で休場となるので、欧米市場がスタートしてからの為替相場の大きな変動には警戒が必要となる。

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 8月10日は7:45(すべて日本時間)に1ドル110円18銭の上値をつけたが、そこから24時間で約1円以上の円高となっている。北朝鮮からグアム攻撃計画のニュースが流れ、地政学リスクがこれまで以上に高まっているからだ。日付の変わった11日5:00ごろには、トランプ大統領から「米国の核兵器は最高の準備状態だ」というコメントも出されている。市場ではリスクオフの動きが強まった。12:20ごろには1ドル108円91銭の下値をつけている。

 労働市場の好調ぶりを引き継いで期待されたインフレだが、やはり低調ぶりが浮き彫りとなった。10日21:30には7月生産者物価指数(PPI)が発表されたが、前月比-0.1%とマイナスに落ち込んだのだ。事前予想は+0.1%であった。コア指数も前月比で-0.1%、こちらは事前予想が+0.2%であった。23:00にはダドリーニューヨーク連銀総裁が講演を行い、「インフレは目標の2%に向けて上昇している」とコメントしたものの、「現在の低迷から抜け出すためには半年以上の期間が必要だ」とも述べており、年内の追加利上げ観測は後退してドル売りが加速している。タカ派であったダドリー総裁のややハト派寄りの発言がインフレ低迷の深刻さを物語っているだろう。21:30には前週分の新規失業保険申請件数も発表されており、こちらは事前予想の24.0万件を上回る24.4万件であった。状況的にはドル売りの材料しかなく、全面的に円高となり、一方的にドルは急落していった。

 本日は21:30から7月消費者物価指数(CPI)の発表がある。はたしてドルが盛り返す材料になれるのか期待される。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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