三陽商会、162店舗を閉店 売上高減も利益は順調に改善 17年度中間決算

2017年7月28日 21:09

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記事提供元:アパレルウェブ

 三陽商会は、2017年12月期連結中間決算(1~6月)で、売上高が前年同期比6.6%減の318億9,100万円、営業損失が16億2,600万円(前年同期△58億1,200万円)、経常損失が17億900万円(△57億6,300万円)、純損失が2億1,100万円(△54億8,800万円)となった。不採算ブランドの廃止などを行ったことから売上高が減少したものの粗利益率が改善、さらに販管費の削減を進めたことから、利益面での改善が見られた。

 事業構造改革の一環として、上期は不採算売り場全162店舗を閉めた。全店(1,205店舗)売上高は前年同期に比べて8%減少したが、利益率の改善に寄与。昨年12月に実施した希望退職による従業員の減少、広告宣伝費の見直しなどと併せ、販管費は当初計画を10億円上回る削減となった。EC・通販による売り上げは全体の7%ほどだが、ウェブ限定商材の強化や主力ブランドのメディア発信強化、ゾゾタウンへの出店ブランドを拡大などから、前年同期比27%増の28億円を達成した。

 同社は今年2月に発表した「新経営計画」で、青森県にある自社工場のサンヨーソーイングで生産するコートなど、同社が強みとするものづくりを主軸にした商品拡販に力を入れるとともに、百貨店主体となっている販路を商業施設やECなどの直販にも広げること、雑貨などライフスタイル分野全般に力を入れることなどを掲げている。下期は、ファッション性を高めたコートの新ブランド「ブルーフラッグ」の販売を開始。好調なEコマース事業については、ウェブ接客などの機能を強化するとともに、EC専用ブランドのテストマーケティングなどを行う。また、不採算事業の見直しとして、8月末には婦人服ブランド「コトゥー」と紳士服ブランド「イルファーロ」の2ブランドを廃止する。

 売上高、売上総利益(142億4,400万円)はほぼ計画通りに推移し、利益改善も前倒しで進んでいることを受け、岩田功社長は、「経営計画の6分の1が終了した時点。数値的に見れば利益の改善はみられるが、合格点とはまだ言い難い。下期も手綱を緩めずスピード感をもって構造改革に取り組む」と話した。

 通期業績予想は、夏物マークダウンの開始が上期6月に前倒しになったことによる売上減のほか、コート売り場の増設や好調なEコマースや売り場などへの投資、それに伴う販管費の増額を見込み、売上高は625億円(前回予想630億円)と下方修正した一方、営業損失25億円(△30億円)、経常損失25億円(△28億円)、純損失13億円(△14億円)はそれぞれ上方修正した。EC・通販による売り上げは、25%増の57億円となる見通しだ。


下期に販売を開始する新コートブランド「ブルーフラッグ(BLUEFLAG)」。第1弾企画として、森下公則デザイナーを起用した「BLUEFLAG+kiminori morishita」を発表した。

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