DNAチップ研究所は調整一巡感、18年3月期は大型案件で黒字化予想

2017年6月13日 09:14

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 DNAチップ研究所<2397>(東マ)はDNAチップ技術や遺伝子系検査コンテンツの開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。リウマチェック、免疫年齢サービス、EGFRチェックなど診断事業を強化して収益改善を目指している。18年3月期は大型案件の受注を見込んで黒字化予想である。株価はモミ合い展開だが調整一巡感を強めている。上放れ展開が期待される。

■DNAチップ技術の事業化を目指す研究開発企業

 将来の個人化医療や未病社会の実現を見据えた遺伝子発現プロファイル収集・統計受託解析など、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)技術や遺伝子系検査コンテンツの開発・事業化を目指す研究開発企業である。

 時々刻々と変化する体調変化や加齢とともに起こる免疫変化などを遺伝子検査するRNAチェック(血液細胞遺伝子発現マーカー検査)に強みを持ち、大学病院・研究機関や製薬・食品メーカー向けDNAチップ関連受託実験・解析・統計処理サービスなどの研究受託事業、および免疫細胞の加齢遺伝子の働き具合から体内年齢を予測する免疫年齢サービスなどの診断事業を展開している。  14年11月にはエンジニアリングプラスチック大手のエンプラス<6961>と資本業務提携した。バイオ事業における業界ネットワークの補完、新製品開発能力の強化、海外インフラの利用などでシナジー効果を目指す。

■がん関連など診断事業を収益柱に育成方針

 中期成長に向けて、次世代シークエンス受託解析サービスなど研究受託メニューを充実させるとともに、RNAチェックによる遺伝子解析検査サービス、独自開発パッケージソフトウェアによる診断サービス、健康モニタリングサービスなどの診断事業を収益柱に育成する方針だ。

 診断事業では、世界初の遺伝子発現による生体年齢評価方法である免疫年齢(免疫細胞の加齢遺伝子の働き具合から体内年齢を予測するサービス)、Diva-EGFRチェック(肺がん患者を対象とした組織由来DNA変異検出サービス)、リウマチェック(関節リウマチ薬剤効果予測検査)による多剤効果予測検査サービス、血液中の遺伝子を解析して消化器がんの有無をチェックするマイクロアレイ血液検査、乳癌再発リスクを予測するMammaPrint(乳癌予後予測キット)などを展開している。16年7月には関節リウマチに対する新しい検査サービスであるリウマチェック3を開始した。

 商品関連では、高校・大学生教育用DNAチップ教材「ハイブリ先生」、問診パッケージソフト「iRIS:関節リウマチ問診システム」、DNA鑑定向け硬組織(歯牙・骨)からのDNA抽出キット「Tbone EX Kit」を販売している。

 戦略商品に関しては中長期的に一般健康診断への採用拡大を目指し、大腸がん・悪性神経膠腫の術後予後予測、免疫年齢・肥満・うつ病・疲労・アルツハイマーなどの診断関連マーカーの開発・事業化、医薬品開発と一体化した診断マーカー開発(コンパニオン診断薬開発支援)、再生医療支援事業(培養細胞の安全性評価系)なども強化する。

 15年3月愛媛大学および北海道大学とともにJST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に採択された共同研究で、脳腫瘍の一種であるグリオーマ(神経膠腫)の機能を抑制するマイクロRNAを発見した。癌の根治療法を生み出すと期待されている。

 16年10月にはオンコリスバイオファーマ<4588>との共同研究契約の締結を発表した。オンコリスバイオファーマががんの体外検査薬として開発を進めているOBP-401(テロメスキャン)について、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)治療薬のコンパニオン診断薬としての可能性(CRPCに対する効果予測マーカーとしての応用の可能性)を共同研究する。

 17年3月には、カスタムアレイCGH解析C3チェックサービスに299遺伝子のプローブを高密度化したカスタムアレイを作製して、C3チェックサービスプラスとしてサービスを開始した。17年4月にはDiVA-EGFRチェックの名称をEGFR-NGSチェックに変更した。

■17年3月期は赤字

 前期(17年3月期)非連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比14.2%増の3億24百万円、営業利益が1億52百万円の赤字(16年3月期は1億78百万円の赤字)、経常利益が1億51百万円の赤字(同1億78百万円の赤字)、純利益が2億11百万円の赤字(同2億03百万円の赤字)だった。

 診断事業において受注を見込んでいた製薬関連の大型案件の受注時期が今期(18年3月期)にずれ込んだことや、診断事業において新規サービスのリリースが遅れたことが影響して赤字が残った。診断サービスの新規メニュー開発のための研究開発費が大幅増加したことや、特別損失に研究施設および事務所の固定資産に係る減損損失を計上したことも影響した。事業別売上高は、研究受託事業が同11.9%増の3億10百万円、診断事業が同2.2倍の13百万円だった。

■18年3月期は大型案件受注見込みで黒字化予想

 今期(18年3月期)の非連結業績予想(4月20日公表)は売上高が前期(17年3月期)比50.9%増の4億90百万円、営業利益が5百万円の黒字(前期は1億52百万円の赤字)、経常利益が5百万円の黒字(同1億51百万円の赤字)、純利益が3百万円の黒字(同2億11百万円の赤字)としている。

 研究受託事業では大型案件の受注を確保して売上拡大を図る。受注時期が今期にずれ込んだ製薬関連の大型案件も見込んでいる。診断事業では「DiVA-EGFRチェック」の販促活動を一層強化する。収益改善が期待される。

■研究受託メニューの強化や診断支援サービスの拡充で業績改善目指す

 中期的な業績改善推進プランとして開発力強化と事業化加速を掲げ、他社連携強化と新規メニュー開発(DNAチップ受託を中心とした販社・他社連携、次世代シークエンス受託を中心とした差別化、メタゲノム・がん・再生医療領域を中心とした受託など)、診断事業の選択と集中(リキッドバイオプシー、RNAチェック、シングルセル解析を用いた診断メニュー開発など)を推進する。

■株価は調整一巡してモミ合い上放れ期待

 株価の動きを見ると、600円近辺でのモミ合い展開だが、週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支える形だ。6月12日の終値は611円で、時価総額は約26億円である。調整一巡してモミ合い上放れ展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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